実践指定校実践例 2013年度

新聞から世界を知る、世界の中で生きる自分に気づく授業

千葉県立佐倉南高等学校(ちばけんりつさくらみなみこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 地理歴史
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年
現代世界の地誌的考察
世界各国の現状や課題について新聞を読み、班毎に紹介記事を作成することで、言語活動の充実を図り、グローバルな視点で世界各国の多様性や日本との関わりに気づかせる
世界の国々の情報が掲載されている記事を新聞の山から各自で探し、世界の7地域毎に各1件の紹介記事をまとめていく
新聞制作学習 新聞活用学習

(1)導入説明・班編成・世界各国の新聞記事を班で探す作業。
(2)(3)記事に対応した教科書の解説文を見つける。新聞記事内容と教科書の文章を要約した上で、自分の意見文の下書きを作成する。
(4)(5)模造紙にレイアウトを考えて記事を貼り、中央に貼った世界地図のどこの国の記事かをわかるように矢印で位置を図示。要約と意見文を清書する。
(6)完成作品を掲示して班毎に発表する。

第1~6時

(1)各班でアジア・ヨーロッパ・アフリカ・中南米・オセアニア・ロシアを扱った新聞記事を各1件づつみつけて切り抜く。
(2)(3)新聞記事を読んで、教科書と関連するページを探す。新聞記事の要約と教科書の関連内容を文章としてまとめ、意見文の下書きを書く。
(4)(5)模造紙中央に白地図を貼る。周囲に各班員の新聞記事を貼り、矢印で国の位置を図示する。下書きした要約文と意見文を清書する。
(6)班毎に登壇し、作品を前にして、各担当が解説・発表する。

(1)新聞記事選びは、後で要約や意見が書けるような自分が理解できるものを選ぶように助言する。
(2)(3)新聞記事は個別具体的な現在の状況であるのに対して、教科書の内容は事実として確定していることや概要になるため、記事と関連のある教科書の内容を見つける課題は難しく、みつけられない生徒が非常に多い。ページを示すだけではなく、どのように関連しているのかを各自巡回して助言・解説していく必要がある。

模造紙1枚に現在の世界各国の状況が伝わるような作品が各班出来上がった。個別の意見文でも、シリアの内戦、アメリカのオバマケア、中国のPM2.5、インドやブラジルやトルコなどの新興国の状況、中東やアフリカでのイスラム過激派によるテロ事件など、知らなかったことを新聞を通して初めて知ったという生徒が多かった。

各班で、世界各国の記事の担当割り当てや記事内容の教え合いなどの活動によって、相互に相談・助け合いながら活動をしていくことができた。生徒が知らずに過ごしてきたことを、新聞を通して初めて知り、地理的な諸条件や歴史的背景から今日よく耳にするニュースの内容を理解することができた。教科書との関連を要求したことによって、記事の背景を探り、世界各国を見るグローバルな視点の形成に寄与できた。一方で、教科書との関連内容を見つけることが生徒には難しかったようで、新聞記事をその場で見て、教科書のどこに関連するかを指示し、説明していく手間のかかる作業をやるには教員1人では対応しきれない状況だった。そのため、内容理解が未消化な生徒は要約文や意見文があいまいなまま、ただ書き写すことで凌ぐことになった点が反省点である。

実践者名:千葉県立佐倉南高等学校 小島 江津子