実践指定校実践例 2013年度

新聞を活用し、授業での表現活動を進路研究活動につなげる実践

名古屋市立若宮商業高等学校(なごやしりつわかみやしょうぎょうこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 国語 、特別活動 、キャリア教育・進路指導
学年 高校(高等専門学校を含む) 2年 、3年
「国語表現Ⅱ」(全般)、特別活動(HR活動「進路適性の理解と進路情報の活用」)
新聞活用学習

3年「国語表現Ⅱ」(3単位)・通年
HR活動・進路研究活動 主に9~10月

「国語表現Ⅱ」は毎時/HR・進路研究活動は随時

学習活動 (「国語表現Ⅱ」での実施)…本校は商業高校であり、就職・進学いずれの進路志望者も在籍しているが、いずれにせよ、商業に関する知識はもとより、政治経済・社会情勢にアンテナをはり、自身の視点を持つことが求められている。そこで3年生「国語表現Ⅱ」では、毎時間新聞を読み、意見を記録用紙にまとめる活動を行っている。就職試験・入学試験の面接・小論文のための基礎学習も兼ねた活動である(一部、他学年でも実施)。
進路研究活動(進学指導での実施)…本校から進学を志望する生徒は、AO入試・推薦入試・一般入試などにおいて、学力試験以外に小論文・面接による試験を受けることが多い。よってそれに資するための進学指導が必要となるが、その際、ある特定の社会問題に対して異なる見解が述べられた新聞各紙の存在は、小論文や面接において必須の「物事の多面的なとらえ方」の手本として、大変に役立つ指導資料となっている。
就職志望者においても、面接で時事問題が問われることも多いため、その対策として新聞を提示し指導にあたっている。なお今回は、小学生新聞も併せて選定した。小学生新聞の記事はその性格上、大変シンプルでわかりやすく、社会問題等の核心部分や端的なメリット・デメリットをつかむのに有効である。そこで生徒の小論文の作成指導などでは、一般の新聞とこれらの新聞を併用して活用している。

「国語表現Ⅱ」の年度初めでは、極力毎時間、一定の時間(約10分間)を取って実施し、新聞を読み、意見を記すことを習慣にすることが肝心である。時に、担当教諭が興味深い記事の内容を紹介・説明することも重要となる。
進路研究活動においては、生徒の知識量や思考力に応じて、一般紙と小学生新聞をうまく使い分け、小論文・面接の基礎固めを効果的にさせていくことが求められる。

年度当初は新聞に読み慣れていなかった生徒も、年度末アンケートでは「新聞を読む時間が楽しくなった」「家でも読むようになった」「卒業後も新聞を読みたい」と書くまでになった。生徒が作成した記録を見ても、そのテーマは多岐に渡っており、社会問題への幅広い関心の芽生えが見て取れた。また、小論文や面接対策に新聞の活用をすすめたが、大変前向きに取り組む様子がうかがえた。

生徒が新聞を通じて社会問題に関心を持つようになり、自分の意見を表すことができるようになったことや、自分の進路決定にも新聞を活用できるようになったことが成果としてあげられる。ただ、新聞記事の奥にあるものを読み取ったり、批判的に読んだりするには至っていないため、今後さらに奥深い学習活動となるよう工夫が必要である。小論文・面接対策についても、生徒が自らに課せられたテーマに関する情報を自らの力で新聞から探し出し、再構成してまとめられるようにしていくための指導を研究していきたい。

実践者名:名古屋市立若宮商業高等学校 柳 正明