実践指定校実践例 2013年度

遺伝子診断の現在を考える

大阪府立枚方高等学校(おおさかふりつひらかたこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 理科
学年 高校(高等専門学校を含む) 2年 、3年
分子遺伝学 生物基礎・生物Ⅱ
遺伝子診断の結果をどうとらえ、今後のどのように人生に役立てていくか
ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーの乳房予防切除の記事を元に、遺伝子診断の実際と活用について学ぶ
新聞活用学習

1)アンジーの乳房予防切除の記事を、NIEノートを利用し、各グループで閲覧。
2)遺伝子診断についての授業を、教科の単元と関連付けて実施。
3)その後の関連記事を紹介して、遺伝子診断に対する理解を深めるとともに、自分自身の問題として考える授業を実施。

関連記事の紹介について

アンジーの乳房予防切除の記事は、ニューヨークタイムズへの本人の投稿に始まり、テレビなどでもかなり紹介されていたので、生徒の認知度も高く、関心も高いものがあったので、これを材料に、遺伝子診断の授業を行った。
乳がんの遺伝子診断の内容について、どのような判断が出来るのか、どのような科学的背景があるのかなどについて、2社の新聞記事を使って、比べ読みをさせながら、より深い理解が出来るように意識して、生徒にその内容をまとめさせた。
日本の現状についても、記事を元に理解させるようにした。実際のアンジーのニューヨークタイムズの記事の英文・翻訳も紹介して、英語による学習も行うようにした。
その後、女子については、自分自身がこのような診断を受けるか、また男子の場合は母や姉、また彼女・配偶者にこのような診断を望むかどうかなどを考えさせ、意見の交流を行った。

遺伝子ですべて決まるわけでないことや、がんは遺伝子の異常による病気ではあるが、遺伝するがんは少ないことなど、科学的に正しい知識をもつこと、また仮に遺伝的な変異を持つヒトがいた場合も、それによって差別されるようなことがあってはならないことなど、人権にも配慮した授業となるようにした。

著名な女優の大きく報道された事例であったために、通常のNIEの実践に比べて、生徒の反応は大きかった。また、乳がんという女生徒にとって、真剣に考えられる課題であったのも良かったようだ。男子の生徒については、やはりまだまだという感はぬぐえなかったが。

継続的に新聞を読むことを生徒に習慣付けることが難しく、せっかくの貴重な情報メディアである新聞を、授業以外で活用できるようになっていないことが大変残念である。卒業後も、積極的に利用し、情報を批判的に活用できる能力を身につけてほしいと願っている。

実践者名:大阪府立枚方高等学校 片山 徹