実践指定校実践例 2012年度

いじめ記事から基本的人権を学ぶ。

長野県松川高等学校(ながのけんまつかわこうとうがっこう)

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): 地理歴史
学年 高校(高等専門学校を含む) 1年
基本的人権の保障と新しい人権の保障
いじめが重大な人権侵害であることを理解し、いじめを無くし個人の権利・尊厳を守る気持ちを育てることができるようになる。
メッセージ性の強い記事を扱う事で、生徒の心に残る学びとする。
新聞活用学習

日本国憲法に保障されている基本的人権を学ぶ(全1時)
いじめ問題から人権保障の大切さを学ぶ(全2時)
基本的人権の保障に対する国家の取り組みと課題を学ぶ(全4時)
計7時間

第3時

 生徒は大津いじめ問題の追跡記事を読み、いじめが社会全体から多くのものを奪うことに気づいた。いじめが重大な人権侵害になることを理解した生徒が本時ではいじめをしない、させない心を養う学習活動に取り組む。

【導入】
前時のまとめからいじめが奪ったものを再確認する。

【展開】
 いじめている君へ、いじめられている君へ、いじめを見ている君へ(朝日新聞)といじめと向き合う(信濃毎日新聞)から記事を抜粋。生徒を8グループに分け、8種の記事を配布する。

 各グループ毎記事の中から筆者が一番伝えたい言葉を考える。その言葉を画用紙にまとめ、さらに画用紙に自身の意見も貼り付ける。

【まとめ】
 完成した画用紙は黒板に掲示し、クラス全体で各グループの記事やメッセージを味わう。

記事の選定は教師が行う。選定の観点はメッセージ性が強く、主張がはっきりしているものかどうか。

 生徒は自分がいじめられていたらどうか、どんな言葉をかけてもらいたいかというように自分のこととして考えることができていた。生徒なりにいじめはなくならないかも知れないけれど、無くすために僕は、私はこうしたいという素直な気持ちが感想に書かれていた。

【成果】
 基本的人権を学ぶ際に、本時の活動を行い、人に思いやりを持つこと、則ち人権を尊重することの大切さに気がつけた点では成果があったと思う。またグループ活動を通し、記事に対する他者の意見を知る学びあいの中で、生徒同士が高め合う姿が見られた。

【課題】
 基本的人権を守る姿勢を育てるのが本時のねらいである。しかし本時は単なるきっかけに過ぎず、今後も継続して生徒と他者を思いやる気持ちを学んでいく中で人権保障の気持ちを育てていきたい。
 新聞記事の利用は即時性があるため、教材としては優れている。一方、多くの情報に埋もれ、風化が早いという性格も持ちうる。なので、教員、生徒ともに継続して関心を持ち続けることができるような実践を行っていきたい。

実践者名:長野県松川高等学校 若林 寿輝