第9回いっしょに読もう! 新聞コンクール受賞作

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(滋賀県)立命館守山中学校 3年 阿部 瑞希(あべ・みずき)さん

意見を聞いた人:母

記事見出し

人生のフィルム 戦争カットしたい~語る―人生の贈りもの― 画家 安野光雅 5(朝日新聞2018年8月10日付朝刊)

(1) この記事を選んだ理由と、記事を読んで思ったこと、考えたことを書いてください

私が小さい頃から大切にしている絵本の作者・安野光雅さんの名前を見つけ、この記事が目に止まった。優しい絵でつづられた絵本とは全く違う、つらい戦争のことが書かれていて、私は驚いた。あんなに素敵な絵と、語りかけるような文章をかいている人が、こんなに苦しい思いをしていたなんて思いもしなかった。安野光雅さんの絵は、母も大好きなので、私はこの記事を母に見せた。

(2) 家族や友だちなどにも記事を読んでもらい、その人の意見を聞きとって書いてください

母は「私が若い頃には、まだ体罰という行為が身近にあった。連帯責任という言葉を使い、理不尽な体罰を受けたことがある。受けて思うことは反省ではなく、行った者への反発と軽蔑。とても嫌な、信頼を捨て、人を憎むという気持ちを生む。それでなくとも戦争は悲しい。味方同士で傷つけ合い、どんなにつらかったか」と語った。

(3) 話し合った後のあなたの意見や提案・提言を書いてください

私も母も、戦争を知らない。この記事で安野さんは、戦争について語っているが、他国への悪口は一つも書かれていなかった。私はこの記事を読んだ後、母の本棚で安野さんの本を見つけ、それを手に取った。そこには、故郷や町を慈しみ、異国にも国境なく同じ人間としての心を見いだす安野さんの温かい心がたくさん詰まっていた。安野さんは、直接敵国とは戦っていない。軍隊の行った無駄ないじめや体罰、そしてその連鎖に苦しめられたのだ。「夜がはやくくればいいのに」という思いや、「日本が負けるはずがない」と口では言いつつも、戦争が終わって「ああよかった」と感じたこと。私は幸い体罰を受けたことはないが、それは本当に正直な感想だと思う。憎しみが呼んだ憎しみの連鎖は、人々の体や心に今も深い傷を残しているのだ。戦争に大義名分はない。みんな同じ人間なのだから、国の外にも中にも敵を作ってはいけない。思いやりを連鎖させたい。