第2回いっしょに読もう! 新聞コンクール

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2011年11月26日、第2回「いっしょに読もう!新聞コンクール」の授賞者が発表され、同日横浜市の新聞博物館で表彰式が行われた.

表彰式には、最優秀賞に選ばれた新潟市立女池小学校4年・佐藤丞さん、仙台市立折立中学校3年・永野綺咲さん、東京女子学園高等学校2年・内田絢子さんと審査員特別賞に選ばれた洋野町立種市中学校1年・種市昇悟さん4人が出席。また、授賞者が選んだ記事を執筆した記者も招かれ、壇上で一組ずつ懇談した。

博物館・NIE委員会の河田卓司委員長(読売東京)が「受賞作の多くが、今年最大の出来事である東日本大震災を取り上げていた。新聞人が地域とともにありたいと被災地・被災者に寄り添う形で報道してきた気持ちを若い感性で切り取ってくれたものだと思う。記者が必死に書いた記事に共鳴して書いてくれたことに感謝しているし、記事を書いた記者が一番喜んでいるだろう」とあいさつし、賞状と盾を授賞者に授与した。

講評では、影山清四郎審査委員長(日本NIE学会前会長)が「今回の審査は、昨年の倍近い応募があり、最終審査ではどれもすぐれた文章で選定が難航した。今回の応募作に特徴的だったのは、河田委員長も言ったように、東日本大震災、そして震災を契機として日本社会に起きたことに関する記述が多かったことだ。直接震災を取り上げているかどうかは審査基準ではないが、それを自分の問題として深く考えて提案をまとめていることに特色があった。その真剣さ、真面目さが伝わってきた。

今回からは学校種別に最優秀賞を設けたので、それぞれの段階ごとのふさわしい文章を選ぶことができた」と述べた。

懇談では節電で街が暗くなり、星が見えるようになったという記事について感想を書いた小学生部門の佐藤さんに、読売新聞東京本社の福士由佳子記者が「震災後うつむきがちの人が多いと感じ、空を見上げるような活動をしている人のことをとりあげたい、と記事を書いた。佐藤君は私が記事には書かなかった、日本人がぜいたくをしていたことに気付いたということまで読みとってくれた」と話すと、佐藤さんは「普段から使わない部屋の電気を消すようになった。新潟でも満天の星は見られないが、見られるようになればいい」と応じた。

被災者への食料配給の記事について感想を書いた中学生部門の永野さんの懇談では、河北新報社石巻総局の土屋聡史記者が震災取材のため出席がかなわず、沼倉良郎東京支社次長が代理で出席。「『心を寄せて支援しなければ、希望を見いだすことができない』という一節が深く心に響きました。荒廃した被災地を日々目にし、悩みながら記事を書きました。永野さんが復興のあり方を考える一つのきっかけになったということは、記者冥利(みょうり)に尽きます。これからも被災地の報道をはじめ、新聞が紡ぐ社会の一端を様々な角度から読み解いてください」と預かっていたメッセージを代読した。永野さんは「普段はあまり新聞を読まなかったが、震災報道で写真が多く掲載されているのを見て読んでみようと思った。家では、父が記事についての話題を持ち出すと、家族の会話につながる」と述べた。

未成年者の臓器移植の記事について感想を書いた高校生部門の内田さんの懇談では、朝日新聞東京本社の大岩ゆり記者が「自らを提供者の親と同じ立場において読む人を想像しながら記事を書いたが、提供者と同年代の若い人が読んでくれるというのは想定していなかった」と話した。また、コンビニエンスストアに設置されているドナーカードについて触れている部分について、大岩記者が「設置料がかかるということは私も知らなかった。内田さんの取材力に驚いた」と称えると、内田さんは日本臓器移植ネットワークに問い合わせた時のエピソードを紹介した。最後に「これまでは部活動などが忙しく、あまり新聞に触れる機会がなかった。今回の受賞で、新聞に触れたいなという気持ちになり、帰宅が遅くなっても5分くらいぱらぱらとめくるようになった」と生活の変化を報告し、大岩記者を喜ばせた。

震災で父を亡くした一家の記事について感想を書いた審査員特別賞の種市さんは、自身も岩手県の海沿いの町に住んでおり、実際に高台から津波が漁港を襲う様子を見たという。記事について「自分はこれまで大切な人を亡くしたことはないが、記事を読んで自分だったら何ができるかを考えた。支援物資を送るだけでなく、実際に現地に行くことが有効だと思う。加えて、メッセージを送ることも大事だと思う」と述べた。毎日新聞東京本社の安高晋記者は「記事中の家族が、立ち止まったり、後ろに下がったりしながらも、ちょっとずつ前を向こうとしているということを読んでもらいたいと、この記事を書いた。これからも種市君には気持ちを想像しながら新聞を読んでほしい」と述べた。

表彰式終了後、受賞者は新聞博物館を見学し、館内の新聞製作工房で表彰式の写真が入ったオリジナル新聞を作成。その後、神奈川新聞の編集局を訪問し、新聞が作られている現場を見学し、表彰式の写真を入れた号外を、編集局整理部のワークステーションを実際に駆使して作り上げた。