“先生”体験から考える

一人でも多くの子どもの声を―着眼点に驚くスクラップ教室

初めて新聞に触れる児童は珍しくない。紙面の開き方から説明する

 小学生をメーンに、幼稚園児から大人までを対象とした新聞の読み方や作り方、スクラップを指導する教室を行っている。最初のころ、あがりやすい自分にとって、講師役は苦行だった。教壇に立つ度に、どこを見ていいのかと挙動不審になり、NHKの有働アナの2倍は脇汗が出た。

 それでも場数を踏めば何とかなるもので、昨年は学校や、自社印刷工場「越中座」の見学に来てくれた約1500人の児童たちの前で話をした。新聞に初めて触れる子にも「へぇ~新聞って面白いんだ」と知ってもらおうと、対象の年齢に合わせ、住んでいる地域の話題を盛り込むなど知恵を絞り、失敗を繰り返しながら内容の充実を図っている。

 「出前教室では、子どもたちを受け身にしない」と決心して出掛けるのだが、時間内に言いたいことを話し切ろうとする自分との戦いになる。おまけに、その場には本物の先生もいて、勝手にプレッシャーを感じてしまう。自分の話す内容や資料について「これでいいのか」と悩むことは多いが、NIEアドバイザーの先生に「新聞のプロに直接話を聞いたことは、子どもたちにとって宝物なのよ」と励まされ、その気になって現在に至る。

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