第7回いっしょに読もう!新聞コンクール
最優秀賞(高校生部門)・森亜理朱さんと出会った記事執筆者の思い

自覚した「言葉への責任」の重さ

右から金井編集委員、森さん、筆者

 もちろん、今回受賞された森さんのように恵まれた読者に私の文章が届き、その感想に触れることができたのは、望外の喜びである。しかし、おそらく新聞を介して、(私からみれば)膨大な読者が私の文章を読み、多種多様な感想を抱いたはずである。もちろん、熟慮を重ねたうえで執筆したものだが、こちらの意図すらも超えて生じたであろう感想の山塊を想像したとき、ある種の身震いを感じたのも確かである。

 記者の方々が、そのような言論空間のなかで毎日記事を執筆しているという事実に、心から敬服する。それと同時に、今回の機会を通して、「言葉への責任」というものの重さを、あらためて自覚することができた。私が書く一つ一つの言葉の先に、読者ごとに、数え切れない反応がある。そのことを想像する力を鈍らせてはいけないと、受賞者たちと会うなかで考えさせられた。

筆者

佐藤 啓介(さとう・けいすけ)
南山大学 人文学部准教授

「新聞研究」2017年2月号掲載
※肩書は執筆当時