“先生”体験から考える

新聞社と学校の連携を密に

 一連の授業を行う中で、現場の教師と何度も打ち合わせできたことも収穫だった。教師は子どもたちに「取材して必要な情報のメモをとる」「伝えたいことが明確な文章を書く」「伝わるように見出しや割り付けを工夫できる」などの力を身に着けさせたいことを再確認できた。

 一方で、そうした取材、執筆、編集のスキルの習得は、短時間の指導では難しいことを理解してもらう必要もあった。あらためて新聞社と学校現場が連携を密にする必要性を痛感させられた。

 学習指導要領に新聞の活用が盛り込まれ、小学校の教科書でも、新聞を作る単元が登場する。学校を訪れると、社会見学や歴史の授業で学んだ内容をまとめた新聞を目にする機会が多い。だが、多くは「新聞のようなもの」で、何のために新聞形式でまとめさせたのか、教師の意図が理解できないことがある。

 こうした状況に一石を投じる取り組みが始まっている。鹿児島大学教育学部は2015年から、教師が新聞作成のノウハウを学ぶ教員免許更新講習を実施している。子どもたちに作らせる前に、まず教師自身が作成することで、難しさや学習効果を実感してもらうのが狙いだ。

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