“先生”体験から考える

教育に必要とされる新聞に―教壇での経験がアイデア生む

 「修学旅行新聞ができたので講評してほしい」。昨年12月、鹿児島県霧島市の国分小学校から連絡をもらい、6年生の教室を訪ねた。子どもたちは、地震で被害を受けた熊本を旅行し、新聞を制作していた。倒壊した家屋が残る益城町や熊本城の様子をきちんと伝え、復興を願う気持ちがあふれ出ている紙面に感心した。

 国分小はNIE実践指定校となって2年目。永田清文校長から、修学旅行前後と作成後の講評まで、一貫した指導を依頼された。出発前の授業では、5W1Hを念頭に取材することや、伝えたいことを意識して撮影する大切さを説明。旅行後は、記事や写真のレイアウト、見出しの付け方を教えた。

 小中学校から修学旅行新聞の指導を頼まれるのは、珍しいことではない。しかし、ほとんどが旅行後だ。子どもたちは、新聞の予備知識もないまま旅行しているので、必要な情報をメモしておらず、紙面を意識した写真も撮影できていない。乏しい材料では、できあがる紙面も中途半端なものにならざるをえない。

 そのような新聞作成に疑問を感じていた中、国分小の依頼は渡りに船だった。「一貫して記者に指導してもらうことで、取材に必要な“視点”を学ばせ、紙面の“見通し”を持たせたかった」。長年NIEに関わってきた永田校長の意図は、「わが意を得たり」だった。

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