“先生”体験から考える
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作文が苦手な子供たちが“輝く”姿に驚愕
ある事件を扱った映像を見た子どもたちは、目撃者という設定の学生にインタビューし、原稿用紙に記事を書く。記者にとっていかに締め切りが大切なものかを説明した後、締め切り時間を告げる。「あと3分。原稿が間に合わないと、白い紙面が配られることになるよ!」。そんな風に危機感をあおったとき、子どもたちが見せる集中力には、目を見張るものがある。
15年2月に「ことばの授業」のキャップになり、昨年度は40校余りで授業をした。当初は子どもたちが必死に原稿用紙のマス目を埋めていく姿を、当然のことと受けとめていた。しかし、「普段は作文を書けない子が一生懸命文章を書いている」と、何度も先生たちから指摘され、その理由を考えるようになった。
多くの子どもたちと接する中で、作文が苦手な子には二つのタイプがあることに気づいた。文章を書くこと自体にアレルギーを感じている子と、文章を書くこと自体は嫌いではないが、自分の意見や感想を表明するのが苦手な子。この出前授業で先生を驚かせるのは、後者のタイプの子どもたちなのだろう。「ことばの授業」で輝く子どもたちが現れることを、いつしか学生たちと“記事の奇跡”と呼ぶようになった。
学校での作文指導は、書くことと、意見を表明することとを切り離すことなく教えているのだろう。だとすれば、記事を書くノウハウを伝授することによって、書く力を養ってもらうこのプログラムは、今後ますます学校からの要望が高まっていく可能性がある。
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