“先生”体験から考える
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「狭く深く」の姿勢を重視 河北育ちの芽吹きを期待
河北新報社は今年4月、「防災・教育室」を新設した。地元で多くの犠牲を生んだ震災の教訓から、従来の「広く浅く」の啓蒙報道には限界があったと反省。12年5月から月1回、記者が地域に出向いて住民らに「狭く深く」働きかける防災ワークショップ「むすび塾」を続け、防災・教育室はその企画・運営を担う。
「広く浅く」から「狭く深く」へ─。防災でも人材育成でも、報道に対する時代の要請は共通していると感じる。
とはいえ、河北育ちは4年で300人に満たない。焼け石に水の感はある。願わくば全国の報道機関が危機感を共有し、「狭く深く」の姿勢を重んじてくれれば、世間のマスコミに対する受け止めは変わるのではないかと期待する。
最後に「河北育ち」の面々の進路を紹介したい。新聞、テレビ、通信社など、報道界に進んだのは来春入社も含め50人になる。もちろん、「いい記事を書けば十分という時代は終わった。記者も読者を育て、報道が信頼される土壌を耕す実践が欠かせない」と刷り込んでいる。
被災地を思う気持ちを宿した種が各地で芽吹いて連帯し、報道の新たな地平を切り開いてくれることを願っている。
筆者・プロフィール
- 大泉 大介(おおいずみ・だいすけ)
- 河北新報社 防災・教育室主任兼論説委員兼広告局営業部主任
「新聞研究」2016年12月号掲載
※肩書は執筆当時