2014年度 特別支援教育におけるNIE④ (栃木県立のざわ特別支援学校の実践)

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校内初任者研修で行ったワークショップ

「しもつけ子どもタイムズ」に掲載されたワークシート

貸出カウンターの小学生新聞と壁面の「しもつけ子どもタイムズ」

  栃木県立のざわ特別支援学校(栃木県宇都宮市)は、肢体不自由のある児童生徒のための学校です。小学部、中学部、高等部合わせて173人の児童生徒が在籍しています。

   前回の実践報告

http://nie.jp/teacher/advisor/report/

2013/07/08_002926.html)でも記載しましたが、本校がNIE実践指定校になったことはなく、組織的にNIEの実践を行っているわけではありません。しかし、NIEに関心のある教師数名が、通常学級課程や重複障害学級Ⅰ課程での教育活動に新聞を活用しています。

  今回は、まず高等部で新聞を活用している事例を報告します。

 通常学級課程2学年では、「現代社会」で社説の要約をして、「総合的な学習の時間」や「HR」で朝日新聞『天声人語』の書き写しをしています。今後、記事を読んで見出しを付ける学習や、授業時間外には興味・関心がある記事のスクラップを予定しているようです。

 通常学級課程3学年の一部では、「職業」で毎週木曜日に2時間、朝日新聞『天声人語』の読み取りをしています。

 また、重複障害学級Ⅰ課程2学年の1クラスでは、毎週水曜日の自立活動の約25分を、新聞を使った学習活動に充てています。主に小学生新聞を使い、関心をもった記事を読んで発表しています。この学年は、中学部に在籍しているときに新聞を活用した授業を受けています。(当時の課程で取り組んでいました。)生徒の実態から、一般紙の活用が難しい学習グループには、タイムリーな話題を提供できる小学生新聞の活用を勧め、今に至っています。継続した取り組みにより、生徒は自信を持って発表しているようです。

重複障害学級Ⅰ課程3学年のある国語の学習グループでは、毎日小学生新聞の『落語毎小亭』と『こくごのもり』を教材に使い、ことわざや慣用句などの学習をしています。

昨年度は、地元の下野新聞社発行の「しもつけ子どもタイムズ」を使う事例もありました。

 高等部では、卒業後社会に出る生徒達の視野を広げるために、以上のような取り組みをしています。

  次に、私のNIE推進活動について報告します。

 昨年度、私も含めて4人の教師が、地元の下野新聞社が毎週火曜日に発行している、「しもつけ子どもタイムズ」の〈挑戦してみようワークシート〉の問題作成に協力しました。半年で5回掲載されました。

 小学部の教師は、記事から片仮名の言葉を抜き出し、雨の音を片仮名で表すワークシートを作成しました。また、中学部の社会科教師は、猛暑の記事から日本一暑い都市の場所と気温、自分の住んでいる地域の気温を調べるワークシートを作成しました。私は、高齢者や障害者でも楽しめる新しいスポーツを考案しているグループの記事から、スポーツや遊びをアレンジして、誰とでも一緒に楽しめるものを考えるワークシートを作成しました。

 地元紙に掲載されたことで反響もあり、それを授業等で使う教師もいました。私には、毎回作成者と三つ程度の設問を考えることが良い勉強となりました。

  今年度は、校内初任者研修の「図書館教育について」の中で、少しNIEについて触れました。

 4人の初任者の中でNIEについて知っていたのは1人だけでした。新聞を読んでいる初任者も少なく、テレビやインターネットで情報を得ているようです。しかし、新聞を読んでいる初任者の方が、社会情勢に関心が高く、特別支援教育や障害者に対する施策など、多くの情報を持っていました。

 研修では、①3分間で新聞の中から人名を探す。②10分間で、心ひかれる見出しや写真などを切り集め、台紙に貼り発表する。③5分間で、新聞紙を使い重複障害児童生徒向けの遊びの教材を作成する。の三つのワークショップを行いました。

 ワークショップは概ね好評で、授業のヒントになったと言う初任者もいました。

 今後も機会を作り、NIEを広め、NIE実践をしたい教師の手伝いをしたいと考えています。

栃木県立のざわ特別支援学校    教諭 坂本 裕美(2014年7月14日)