主権者教育
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世の中の出来事に対し、当事者意識を持って考え、行動する力を育む主権者教育。
しかし、1回の授業でこうした力が育つわけではありません。植木に水をやり続けるように、日々の学習や生活を通じ、主権者としての意識をじっくりと培うことが大切です。
主権者意識の醸成に最適な、現在進行形の社会的課題を扱う教材とは…
新聞には、政治面をはじめ社会面、経済面など、 主権者としての意識を育むのに適した話題、情報が満載です。難しく考えず、気軽に新聞を使ってみてください。
- 現実社会の諸課題についての理解
- 情報を効果的に調べまとめる技能
- 事実を基に多面的・多角的に考察し、公正に判断する力
- 諸課題の解決に向けて、協働的に追究し、根拠を持って主張し、合意形成する力
- よりよい社会の実現に向けて主体的に社会に参画しようとする力
※文部科学省「『主権者として求められる力』を子供たちに育むために」(2022年9月)を要約
- 知識や理解を広げ、まとめる技能を身につけるには
- 日ごろから様々な資料を読み取り、社会についての「基礎・基本となる知識を育む」こと、「事実と意見を区別して、結論から・簡潔に・根拠を示して書く」ことが大事です。これらの基本を学ぶには新聞を読むことが最適です
- 現実社会の課題を多面的・多角的に考察・追究するには
- 物事には様々な側面があり、立場が違えば見方・考え方も異なります。このことを理解し、解決を目指すには、考えの土台となる幅広い知識や、最新の情報に触れる必要があります。さらに、身の回りの関心事ばかりではなく、世の中全般について知ることも重要です。そんなときは多彩な情報に接することができる一覧性の高い新聞の読み比べが、効率的です
- 社会に参画する意欲・態度を育むには
- 教室での学びが地域や社会で起きている事象とつながり、人ごとではなく「自分ごと」なのだと受け止めたとき、「学びに向かう力」が伸びます。学びと現実社会をつなぎ、社会への興味関心をかき立てる教材は新聞です
小学校
- 新聞に触れる
- 小学校低学年なら、写真や見出しから「すごい」「きれい」「大すき」を見つけることから始めましょう。「新聞って難しそう」と思っていた子供も、進んでページをめくるようになります。
- 感想を書く
- 中学年の児童には、興味を持った写真や記事の感想、意見を書かせてみましょう。新聞の幅広い情報が子供の興味・関心を引き出します。
- じっくり読んで意見を発表
- 高学年は、新聞を丸ごと読むことに挑戦です。日常的に読む習慣ができれば、意見の共有・発表で盛り上がります。
中学校・高校
- 複数紙の読み比べ
- 様々な学習場面で記事を提示しながら、社会問題に目が向くよう導きましょう。重要なのは、複数の記事を比べることです。新聞や書き手によって視点は異なります。多様な考え方に触れ、自分なりの意見を持つ経験が大切です。
- 投書する
- 社会に目が向き、自分なりの意見形成ができるようになったら、課題解決の具体策を提案させましょう。投書はモチベーションアップにつながります。
- 賛否が分かれる事柄を議論
- 社会の諸課題について議論する力が備わってきたら、対立する意見や争点を取り上げ、議論させます。他者の考えを知り、課題への理解を深めることができればよいですね。
- 実際の選挙報道から学ぶ
- 18歳になれば、選挙権を持ちます。国政・地方選挙の前には、新聞から候補者や政党公約などの情報を入手・吟味して投票に備えましょう。若者の投票率が低いことによる社会への影響を考えさせ、模擬選挙を行うことも有効です。自分の生活や未来が政治や社会の動きとつながっていると実感できれば、社会参画への意識が芽生えるはずです。
コラムや社説をスクラップしたり、書き写したりすることで、読解力や論述力もつき、 受験や就活の面接・小論文対策になります
- ネット時代に、なぜ新聞なの?
- 真偽不明の情報や悪意ある言説が大量に飛び交うインターネット時代。だからこそ、確かな情報を見極める力が大切です。新聞は正確な情報を届けるため、記事を複数の目で何重にもチェックしています。
また、アルゴリズムが推奨する、自分の好みの情報だけに囲まれるフィルターバブルの状態では、社会への関心が広がりません。異なる価値観に触れる機会を持つことが重要です。 - 新聞を使いたいけど、政治的中立性の問題は?
- 主権者教育においては、時に対立する争点を取り上げて議論することも大事です。その際、全国紙、地方紙など、異なる立場の複数の新聞を読み比べることで、政治的中立性は確保できます。一つの視点に偏ることなく、物事を多面的・多角的にみて、客観的に判断する力をつける格好の教材として、複数の新聞を活用してください。
- 新聞は学力アップにつながるの?
- 文部科学省が毎年実施する「全国学力・学習状況調査」から分かるのは、新聞を読む子供ほど学力が高く、地域社会のことを考える割合が高いということです。
特に、朝学習の時間などに全校または学年・学級で新聞を読んでスクラップし、記事の要約や感想を書くNIEタイムが学力向上に効果的だと言われています。
NIEを実践する小中学校を対象に実施した調査(※)では、NIEタイムの日常的かつ継続的な取り組みの効果などが明らかになりました。
※日本新聞協会NIE委員会「NIEの学習効果を調べるアンケート」(2019年11 ~ 12月)
NIEに関する調査 - 新聞はどう確保するの?
- 学校や学年、学級で新聞をまとめて注文すると、通常1部につき約150円する新聞が40円前後で購入できる「教材用価格」を設けている新聞社もあります。この制度を利用すれば1人1部の新聞が手軽に行き渡ります。
教材用価格一覧
また、学校図書館にある新聞も活用しましょう!文部科学省は小学校2紙、中学校3紙、高校5紙の配置を推奨しています(※)。 このほか、日本新聞協会では、複数の新聞をそれぞれ2か月もしくは4か月間、無償提供する事業を行っています。学校所在地の各都道府県NIE推進協議会にご相談ください。
※文部科学省は、第6次「学校図書館図書整備等5か年計画」で、学校図書館への新聞配備(小学校2紙、中学校3紙、高等学校5紙)のための地方財政措置を講じています。
各地のNIE推進協議会 - NIE タイムって
- 朝学習や朝読書などのすきま時間を活用して、新聞を丸ごと読む活動です。例えば毎週水曜日の朝8時30分から15分間、児童生徒が興味関心のある記事を自ら選び、切り抜いてノート等に貼り、あるいはデジタル端末に取り込んで、要約や感想・意見などを書きます。週1回続けていくと、3か月程度で書く量・内容ともに目に見えて伸びてきます。1分間スピーチやワークシート学習、新聞クイズを取り入れた活動もあります。
教科領域等の年間指導計画に位置づける必要もなく小学校低学年から高校生まで、全ての校種・学年で実施できるので、学校の実情に合わせてぜひ取り組んでみてください。
NIEタイム - 授業実践など、もっと詳しく知りたい!
- NIEウェブサイトでは初心者向け動画「NIEはじめの一歩」シリーズや、NIEに携わる先生方による多彩な実践例も紹介しています。ぜひ、ご活用ください。
NIE実践データベース