主権者教育の議論深める 第6回NIE教育フォーラム開催
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(右から)南野氏、中江氏、関口コー
ディネーター
主体的に判断できる市民育てよう
新聞協会は2月23日(木・祝)、「新聞・活字体験が支える主権者教育」をテーマに第6回NIE教育フォーラムをオンラインで開催した。九州大学法学部教授の南野森氏による基調提言を踏まえ、南野氏と女優・作家の中江有里氏、新聞協会の関口修司コーディネーターの3人が、児童生徒の主権者としての資質・能力を育むために何ができるかを議論した。240人から申し込みがあり、当日は小中高校の教員をはじめ教育関係者ら160人が視聴した。
基調提言で南野氏は、憲法学者の立場から「権力者の横暴を抑止するという憲法の役割が機能するよう、権力の監視者としての主権者を育てる必要がある。そのために学校教育は重要だ」として、「小学生の頃から、世の中の出来事や政治の善しあしについて考える機会を与え、主体的に判断できる市民を育ててほしい」と呼びかけた。また、教育現場が悩む「政治的中立性」について、「社会には多様な意見がある。自分と異なる意見も尊重しながら議論することこそが政治的中立性の本質だ。先生の考えを児童生徒に押しつけないようにしつつ、恐れず実践してほしい」と話した。
幼い頃から本や新聞に触れられる環境を
基調提言を踏まえた鼎談で中江氏は、読書が自身の考えを確立させる手助けとなったとして、主権者意識を育むには幼い頃から図書館などで好きな本を自分で選ぶ体験を重ねることが大切などと話した。
南野氏は、新聞を毎日読むと様々な出合いがあるとして、自身が教鞭を執る九大法学部の学生には新聞の学割購読を勧めているという。世の中の出来事や政治に興味を持たせるための授業のアイデアとして、「新聞記事などを資料にし、社会で議論となっているテーマについて、自分の意見と関係なく賛成・反対に分かれてディベートする」との事例を挙げた。
関口NIEコーディネーターは、2人の発言を受け、「現実を認識させることが主権者教育の第一歩。自分たちの生活上の問題と憲法とのつながりに気付くことが本来の学びだ」とし、政治の仕組みなどの知識はその後に当てはめて、気付かせていけばよいと述べた。また、教科書に書いてあることを世の中の出来事とつなげる授業を実践すること、日常的に本や新聞を読める環境を整備することの大切さを説いた。
視聴者からは、「日頃の授業の中で、自分なりに展開できる主権者教育のヒントを得ることができた」「主権者教育というのは難しいイメージがあったが、社会を知ることだと理解した」「自分の考えや存在を肯定し、違う意見の人とも話し合える子供たちを育てたい、社会とつなげる授業をしていきたいと、強く思った」といった感想が寄せられた。
基調提言・鼎談の詳細はこちらでお読みいただけます
(2023年2月28日)