HAPPY NEWS 学校での取り組み

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ファイル9冊分の「HAPPY」見つけた!

小樽市立銭函中学校

「新聞への投稿は、生徒が社会につながっていることを実感できる絶好の機会です」。2011年度からNIE実践指定校となった北海道の小樽市立銭函中学校の高橋恒雄教諭は、生徒が新聞に親しむことで、社会への扉が開かれる、と信じている。

高橋教諭が同校に赴任した4年前、「作文が苦手」という生徒が多いことに驚いた。課題を出しても提出さえしない。怠けているのかとも思ったが、よく話を聞くと、「これまで書いたことがない」という。

そこで学校生活をつづる「川柳」を授業に取り入れてみた。作文より気軽に取り組め、表現力の向上も期待できるからだ。担当の社会科の授業では、時事問題を扱った新聞記事やコラムを題材に一句ひねる、というのが習慣となった。作品は、新聞の川柳コーナーに投稿し、毎年60点前後が採用されている。

NIE実践指定校に選定された11年度からは、ますます新聞が身近になった。4か月間、全国紙や地元紙など6紙が毎朝配達され、生徒玄関のそばに設置した新聞コーナーで、いつでも読めるようにした。

書籍「心がぽかぽかするニュース HAPPY NEWS 2010」から、HAPPY NEWSキャンペーンを知り、昨夏は、約290人の全校生徒が、夏休みの課題として取り組んだ。サッカーのなでしこジャパンの活躍や、東日本大震災の復興に尽力する人々の姿、ショーに向けて練習を重ねるおたる水族館のトドの話――。記事から見つけた、心温まるハッピーニュースは、ファイル9冊分となり、保護者からも1点の応募があった。

高校受験を控える中学3年生には毎朝、高橋教諭が知ってほしい、と思う事件や世界の動きをまとめた記事を2本選び、印刷して配布している。

このような地道な活動を重ねた結果、書く力、自分の考えをまとめる力がついた生徒たちは、川柳だけでなく、作文にも積極的に取り組むようになった。新聞の小中高生を対象にした投稿欄に応募し、11年度だけで11人が掲載されている。

高橋教諭は、「作文を書かされて嫌だ、という思いから、次は自分の文章が新聞に載るかもしれない、とわくわく感に変わってきている」と、手応えを感じている。

先日、うれしいことがあった。生徒たちが「天気予報を見たいので、新聞を見せてください」と職員室を訪れた。高橋教諭は、「何かを調べたいと思ったら、まず新聞を思い浮かべてくれるようになった。生徒たちの間に、新聞が定着してきた証拠ですね。

北海道新聞小樽支社・山中いずみ