HAPPY NEWS 学校での取り組み

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学校で取り組む親子のHAPPY NEWS

朝日塾中等教育学校

岡山県北部にある私立の中高一貫校・朝日塾中等教育学校(上野晃裕校長)は、新聞を活用した学習を取り入れ、生徒の読解力や思考力、表現力を伸ばしている。「HAPPY NEWS キャンペーン」には毎年、中等部の生徒全員が応募し、2013年度には学校賞を受賞した。中村晃子教諭は「新聞は、国語力向上に加え、社会的な視野を広げ、人間力を高める素晴らしいツール」と力を込める。

「HAPPY NEWS キャンペーン」への応募は長年にわたり、冬休みの宿題などとして取り組む。「紙面から心が温まったニュースを“発見”し、思いを伝える取り組みは、新聞に親しむ第一歩として打ってつけ。身近な、ほのぼのとした話題も載っていることを知り、興味を持って読んでくれるようになった」と振り返る。

2013年度は、小中高生部門の応募規定が変わり、親子で取り組むようになったため、保護者のコメントも添えさせた。イタイイタイ病の全面的解決合意、郷土のスポーツ選手やサッカーチームの活躍、施設への匿名での贈り物……。生徒たちが選んだ記事はさまざまだが、「母親とゆっくり話し合った」(2年三宅さくらさん)、「親子で記事について考えた」(同年安井麻里奈さん)など、家庭での新聞への関心が高まり、親子のきずなが深まっている様子がうかがえた。

2004年度から07年度までNIE実践指定校。岡山県のNIEアドバイザーでもある中村教諭は、独自に考案したワークシートを使うなどし、日々の学習に新聞活用を盛り込む。例えば「NIEシート」では、生徒は自分の心をとらえた記事を張り、難解語句の意味を調べ、記事を読んで思ったことを書く。併せて紙面から見出しを抜き書きし、体言止め、倒置法など、どのような表現技法が使われているのかを考え、見出しに親しむ。「1面コラムを読み解こう!」のシートでは、コラムの語句を調べ、記事を読んで思ったことを書く。各シートは廊下に提示し、「友人の心をとらえたのはどんな記事か」「どんな思いを書いているか」も分かるようにしている。

「大切なのは、いきなり意見文を書かせるのではなく、記事を読んで初めて知ったことや思ったことを短い文章で書かせ、取り組みやすくすること」と強調する。「日々知的なアンテナを張らせ、生徒が自ら興味を持って取り組むことが重要。それを続けると、自分の意見を持てるようになる」。その発表の場として、岡山市内で行われる弁論大会への出場も続けている。

「新聞には事件や事故など大きなニュースだけでなく、いろいろな記事があった。日常的に読むようになり、視野が広がった」(2年住友花奈子さん)。生徒は取り組みの効果を実感しているようだ。

「社会の動きと連動し、毎日配られる新聞は、生徒にとって教科書とは違う新鮮な刺激となる。楽しみながら学ぶことができるような工夫を凝らし、新聞活用を進めたい」

山陽新聞社読者局NIE推進部・新田真浩