「3.11」の取材体験伝える授業 NIE神戸大会を前に
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東日本大震災直後の紙面を見せながら語る
神戸新聞社の上田勇紀記者=姫路市立豊富小中学校
今年夏の「第30回NIE全国大会神戸大会」を前に、神戸新聞記者が東日本大震災の取材経験を伝える出前授業が、兵庫県姫路市立豊富小中学校(同市豊富町御蔭)で開かれた。前期課程6年生約80人を前に、報道部の上田勇紀記者(42)が、津波で家族を亡くした被災者の思いや取材を通じて感じたことを語った。
同大会は7月31日と8月1日に神戸市内である。1日には甲南大学岡本キャンパス(神戸市東灘区)で、兵庫県内各校の公開授業や実践発表などを行う。このうち、豊富小中学校の前野翔大(しょうた)教諭(38)は全国の「こども新聞」に掲載された東日本大震災の記事などを使った公開授業を行う予定で、上田記者も登壇する。
全国の「こども新聞」の読み比べを横軸に、東日本大震災を発災直後から取材する上田記者の取材体験や書いた記事を縦軸に、新聞を読み解く「メディリテラシー」について考える。
出前授業は、公開授業で取り上げる東日本大震災について前もって理解を深めようと企画された。上田記者は2011年3月11日の東日本大震災後、兵庫県に避難してきた宮城県の親子の取材を続けてきたことや、東北沿岸部に通い、遺族の思いを聞いてきたことを紹介。「『阪神・淡路大震災を経験した神戸から来た』というと心を開いてくれた。しっかりと記事で伝えようと必死だった」と振り返った。
昨年1月に発生した能登半島地震の取材にも触れ、南海トラフ巨大地震への備えの大切さを伝えた。
「取材した人にしか聞けないことを聞けた」と内海結希也さん(11)。福永亮輔さん(11)は「行方不明者を捜す張り紙の多さに驚いた。テレビで見て分かったつもりになっていたけど、初めて知ることがたくさんあった」と話していた。
三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2025年7月15日)