ワークショップで新聞の楽しさを「伝道」 関東甲信越静ブロック会議
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6月7日(土)、東京都千代田区の日本プレスセンタービルで「関東甲信越静ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議」が開催され、NIEアドバイザーら29人が参加した。
はじめに、日本新聞協会の関口修司NIEコーディネーターから、「NIEワークショップの持ち方~新聞の面白さを伝えるためのヒントと方策~」と題した基調提言が行われた。
「NIEの学習」と、「学習指導要領にある子どもたちの能力」の関係性は、「学びに向かう力(=ニュースリテラシー)」「思考力・判断力・表現力(=新聞活用・新聞制作学習)」そして「知識・技能(=新聞機能学習)」にそれぞれ整理される。関口氏は、これらの力を伸ばす実践にあたり、子どもたちにとっても、指導者にとっても「楽しい」と思えるものでなければならない、という考えを強く訴えた。
基調提言の中で、ワークショップ「NIEタイム+ショートプレゼン」が実施された。さすがは各都県のアドバイザー。聞く時間にもまして、動く時間の方がより生き生きしていた。数多くの新聞から参加者が気になった記事をそれぞれスクラップして、「よく聴き、必ず褒める」をルールとしたプレゼン大会が始まった。程なくして、会場内は発表者への拍手に包まれた。「総合的な探究」に不可欠な「傾聴・共感・承認」の能力は、NIEと親和性が高い。今後、教科を超える学びにとって、役立つ手応えを感じる機会となった。
「子どもたちは、今日の先生方よりも短い時間で作業を完了しますよ。そろそろ時間です」という関口氏の呼びかけに「終わらない。時間が足りない」というアドバイザーが多くいた。子どもたちは飲み込みが速く、どんどん作業を進めるが、同時に飽きやすいため、じっくり読むだけでなく、スピーディーな授業展開を考えていくことも重要であると感じた。
続いてグループ討議では、NIEを広げるための活動について、グループに分かれて意見交換を行った。NIE担当教員の実践人数や後継者の少なさ、多くの教員がネットニュースなど「無料」の情報に依存し、対価を払って確かな情報源を得ることをしなくなってきた現状など、NIEが「広がらない」「つながらない」要因が多く存在することが分かった。埼玉県NIE推進協議会では、各アドバイザーの実践例や得意分野をまとめて「アドバイザー紹介」として作成し、実践指定校の担当教員に配布しており、活用の糸口にしている。是非拡散していきたい取り組みであると感じた。
結びに、関口コーディネーターは、「学力向上、読解・表現力の向上にとって、NIEは確かな効果がある。毎年、全国大会をはじめ、各地でセミナー・研修が実施されているが、多くの実践者が、校務の合間を縫い、かろうじて参加している。現場では、教員が校務(出張)としてNIEの研修・会議に参加できるようにしてもらいたい」と述べた。また「各家庭で、子どもが新聞を『面白い』と思えば、世帯で購読するようになる。その動きが、地域に波及するのではないか」とも述べた。新聞の面白さを拡散できる存在が子どもたちだとすれば、そのモチベーションは実践者にかかっている。今回のような交流を通じて、新聞の楽しさを「伝道」していくことがアドバイザーの大事な役割であり、そう考えている実践者が「ひとりではない」と思えたことが、最も大きな収穫であったと強く実感している。
浜 彰史(東京・十文字高等学校教諭/日本新聞協会NIEアドバイザー)(2025年6月17日)