「ヒロシマ」新聞製作 神戸・愛徳学園中生、児童と平和学習
- NIEトップ
- リポート NIEの現場から
- 「ヒロシマ」新聞製作 神戸・愛徳学園中生、児童と平和学習
平和の大切さを児童(左)に伝える
生徒たち=神戸市垂水区歌敷山3
生徒たちが作った新聞の一例
NIE活動の一環として、中学3年生が修学旅行先の「ヒロシマ」をテーマに作った新聞を使って、小学6年生に平和や命の尊さ、日常のかけがえのなさを伝える授業が2月20日、愛徳学園中・高校と小学校(神戸市垂水区)であった。戦後80年を迎え、若い世代が「戦争の記憶」を語り継ぐことが一層大切になっている。
「ヒロシマ」を題材にした小中連携の授業は、同学園が3年前から続けている。2024年10月、中学3年生たちは修学旅行で広島を訪問。広島平和記念資料館や慰霊碑を巡ったり、記憶を継承する語り部に話を聞いたりして、3学期、取材の成果を小グループごとに新聞にまとめた。事前学習として、中国新聞社(本社・広島市)が原爆忌を報じた記事を読んだり、著名な被爆者の一人で、国内外で自身の体験を伝えている近藤紘子さん(80)の話を聞いたりした。
この日の授業は中学3年生14人と小学6年生18人が参加した。生徒たちは自作の新聞を見せながら、原爆が投下され、中1生の遺体の下から見つかった弁当箱が黒焦げだった話や、語り部から聞いたこと、爆心地の地表面の温度が3千~4千度に達した話などを紹介。「体験者は高齢化し、私たちが語り継がないといけない」と児童に語りかけた。
生徒たちが力を込めたのは「『行ってきます』が家族との最後の会話になった」という話。ある児童は「けさ、お母さんとけんかして学校に来てしまった」と話し、家族の大切さをかみしめた。
中学3年の山道眞子さん(15)は「真剣に話を聞いてくれて『一日一日大切にしたい』と受け止めてくれてよかった」、小学6年の山口愛実さん(12)は「普段、当たり前と思っていることがありがたいと感じた」と話した。
また新聞作りにあたっては、兵庫県NIE推進協議会事務局長がアドバイスした。
愛徳学園中・高校と小学校は25年7月31日~8月1日、神戸市である「第30回NIE全国大会神戸大会」で、今回の取り組みについて実践発表する。広島県NIE推進協議会の主要メンバーで、「平和」を題材にNIE実践に取り組む呉市の小学校教諭に講評いただく予定だ。
◆生徒たちが作った新聞はこちら
◆担当された愛徳学園中・廣畑彰久先生と愛徳学園小・彦野周子先生の寄稿(ねらいや感想)はこちら
◆児童・生徒の感想はこちら
◆近藤紘子さんによる平和の授業(24年9月25日)の記事はこちら
三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2025年3月7日)