神戸の地で描くNIEの未来 「来年のNIE全国大会神戸大会」に寄せて
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NIE全国大会神戸大会のイメージ
(グラフィック・レコーディング)
「第30回NIE全国大会神戸大会」までいよいよあと8か月となりました。「時代を読み解き、いのちを守るNIE」をスローガンに掲げる神戸大会では、初日の7月31日に小川洋子さん(芥川賞作家)による記念講演や有識者・実践者によるシンポジウムなどを神戸ポートピアホテル(神戸市中央区)で開催。2日目は甲南大学岡本キャンパス(同市東灘区)に会場を移し、公開授業や実践発表、ポスター発表を通して、新聞の持つ魅力や可能性を引き出すとともに、変動する社会の中における新たな活用方法を探っていきます。
さて、自然災害や感染症の世界的大流行(パンデミック)などの危機的状況において、正確で迅速な情報は命を守るために欠かせません。また、テクノロジーの進化により多様な情報源から情報を得たり発信したりできるようになった一方、誤情報やフェイクニュースが広まりやすく、情報の真偽の判断が非常に難しい時代になっていることを強く実感する毎日です。「既存メディアからSNS(交流サイト)の時代へ」などの声も聞きますが、既に新聞は過去のメディアであり、教育に新聞を活用するNIEも役割を終えようとしているのでしょうか。
わたしはそうは思いません。逆に、かつてないほどメディアの在り方やニュースを読み解き判断する力に関心が集まっている今こそ、新しい時代のNIEを切り拓くチャンスだと思っています。そのためには、「新聞記事をいかに活用するか」から「新聞というメディアを切り口に、ニュースを読み解くリテラシーの育成」への視点の転換が大切だとも感じています。
神戸大会の開催地、兵庫県は、摂津・播磨・但馬・丹波・淡路という歴史も風土も異なる個性豊かな五国からできており、地域の特色を色濃く反映した文化が根付いています。
新聞記事をつかったやさしい日本語、新聞づくり、NIEノート、夜間中学校の実践、防災、平和学習、はがき新聞、NIE俳句、4コマ漫画の活用など、本大会で公開する実践も兵庫五国に負けないぐらい個性豊かです。これらの実践を「ニュース・リテラシー」(さまざまな情報を正しく読み解く力)の視点で見ていただくことで、きっとまだ出合っていないNIEの魅力を感じていただけると確信しています。
港町神戸の地にNIE関係者が集う神戸大会のプログラムが、参加者の皆さまの未来の学びを形作る大きな一歩となるよう、開催地のNIEアドバイザーとして尽力していきます。
最後になりますが、今回の大会では「グラフィック・レコーディング(グラレコ)」の手法を取り入れ、大会の様子を描いていきます。グラレコとは、会議やプレゼンテーションの内容を文字や図・イラストなどで視覚的に記録する手法で、場の雰囲気を可視化・共有化するツールとして注目を集めています。
兵庫県NIE推進協議会は、2年前からメディアとしてのグラレコを取り入れ、実践発表会やNIEセミナーの様子などを描き残してきました。NIEの大会としては初となるグラレコもぜひお楽しみください。
井上 幸史(姫路市立城北小学校教頭、日本新聞協会NIEアドバイザー)(2024年12月5日)