東京都NIE推進協議会 NIEセミナーを開催

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毎日新聞社・黒川晋史記者による講演

生徒発表の様子

 東京都NIE推進協議会は8月19日、「NIEセミナー」を東京・内幸町の新聞協会会議室(オンライン併用)で開催しました。今年は「記者講演」と当会主催のセミナーとしては初の試みとなる「生徒発表」の二部構成とし、会場約60人、オンラインで約20人の方が参加しました。

①記者講演(毎日新聞社 編集編成局社会部記者 黒川晋史氏)

(テーマ)

「若い世代に戦争の体験や記憶をいかに継承したらよいか」

「パリオリンピックを取材して」

 毎日新聞社は23年8月、高校生約2300人へのアンケートの結果を受けて、読者の「読みたい」に応えることに主眼を置いた「みんなと知る戦争」という題の記事(全5回)を掲載しました。このような形での特集を企画した背景や、学校の行事日程などを把握しないままアンケートや感想を依頼しようとして苦労した話など、具体的にお話しいただきました。また、今後の戦争報道の在り方や、若い世代に戦争の体験・記憶をいかに継承したらよいかを考えるよい機会となりました。掲載後に高校生たちが寄せた感想文で、戦争を「自分ごと」として受け止める意見が目立った点に言及され、アンケートの手法を導入したことで手応えのある連載にできたと説明。会場からも記者の方の視点や思いに触れることができて勉強になったなど、多くの感想をいただきました。 

 また、パリ五輪の取材から帰国されたばかりで、現地の様子や裏話などもしていただき、楽しい研修会となりました。

当日のスライド

②生徒発表(新渡戸文化高等学校卒業生 トー横居場所プロジェクトメンバー)

(テーマ)

「トー横キッズが自律→自立できる社会を目指して」        

「新聞から考える、未来の教育!」

 東京・中野区にある新渡戸文化高校卒業生(24年3月卒業)が昨年行った「国語表現」(指導:高橋伸明先生)での研究成果を発表しました。

 この発表は、昨年度、日本NIE学会の「NIE 生徒研究発表会」において優秀研究賞を受賞したものです。通称「トー横キッズ」ついて、在京6紙の報道の仕方の違いや、問題が顕在化した当初は事件報道のみだったのが、時間が経過するにつれ次第に支援団体の視点や都の対策が報じられるようになったことなど、新聞報道について詳細に分析した結果を報告。その上で、トー横キッズの新たな居場所として、歌舞伎町に悩みを共有できる「占いの館」設立を提案しました。新聞を活用し当事者意識を持って研究した発表で、記事から課題を見つけ、「考える」「分析する」さらには「発信する」ことができるのが「新聞」であることを改めて感じた発表でした。会場からも「新聞を活用する機会を授業で増やしていくことの必要性を再認識しました」など多くの感想をいただきました。また、オンライン参加者からも意見を求めて「未来の教育」について考えるなど、大変有意義な研修となりました。  

 当日の様子は8月23日の毎日新聞朝刊(都内版)に掲載されるとともに、東京都NIE推進協議会のホームページにも掲載します。なお、8月よりX(旧twitter)でも情報発信をしています。よかったら、ご覧になってみてください(@tokyonie4760)。

本杉 宏志(東京都NIE推進協議会事務局長)(2024年8月28日)