「阪神・淡路」「能登半島」 高校生と小学生、記事通しともに防災考える

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高校生とともに、阪神・淡路大震災と
能登半島地震の記事を読み比べる児童たち
=神戸市立横尾小学校

 29年前の阪神・淡路大震災と今年の元日に発生した能登半島地震を報じた新聞記事を読み比べながら、小学生が高校生とともに防災の大切さを考える授業が2月2日、神戸市立横尾小学校(同市須磨区)であった。
 兵庫県立須磨友が丘高校(同市須磨区)の生徒会役員16人が横尾小の6年生43人に教えた。日本新聞協会のNIE実践指定校の両校が企画する「小高連携授業」。2022年度に引き続いて「震災」をテーマとする中で、いま、新聞で目にしない日はない能登半島地震の記事を取り上げた。
 授業は児童たちが小グループに分かれ、それぞれに高校生一人がファシリテーター役として入るかたちで行われた。高校生たちは、二つの地震の避難所生活を報じた新聞記事を児童たちに配布。「二つの避難所生活の共通点は」「自分が災害に遭ったとき、どんな支援がほしいか」「地震が起きたときの心配事を減らすため、今何ができるか」などと質問。児童たちは付箋に回答を書き、模造紙に貼っていった。
 「避難所で感染症が流行しているのが同じ」「被災した人においしい食べ物を届けてほしい」「プライバシーが保護される避難所にしてほしい」「サッカーボールなど友達と運動できるものがほしい」「災害に備えて、緊急避難袋を準備したい」「自宅の家具を固定したい」――。さまざまな意見が出た。
 授業では児童たちが積極的に発言する姿が目立った。阪神・淡路大震災を体験した神戸の地で、高校生と小学生が直近の新聞記事を通し、能登半島の被災者のことを自分ごととして考える。兵庫のNIE活動の根幹をなす取り組みのひとつであり、継続してほしいと願う。
 横尾小学校では1月15日、同じ6年生を対象に、兵庫県NIE推進協議会事務局長も震災授業を行った。同協議会では、能登半島地震の犠牲者に阪神・淡路の教訓を伝えられなかった悔恨を抱えながら、次なる災害に備え、出前授業を続けていく。

◆担当された須磨友が丘高校・岩本和也教諭と横尾小学校・吉川拓郎教諭の寄稿(授業のめあてや感想)はこちら

◆児童・生徒の感想はこちら

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2024年2月19日)