新聞ワークシートの可能性

  1. NIEトップ
  2. リポート NIEの現場から
  3. 新聞ワークシートの可能性

神戸新聞の子ども新聞「週刊まなびー」の
新聞ワークシート

 各新聞社が記事やコラム、社説をもとに学校向けに作成している「新聞ワークシート」。私は昨年夏から、神戸新聞別刷りの子ども新聞「週刊まなびー」に掲載中のワークシートを担当している。児童生徒の学習に役立つ記事はどれか、選ぶのは一苦労だが、設問では、その記事だけでなく、本紙や電子版も読んで回答してもらうよう、少し工夫している。新聞をめくったり、たくさんの記事を読んだりする習慣をつけてほしい――。そんな願いを込めている。

 1月15日付ワークシートは、阪神・淡路大震災で亡くなった少女をテーマにした連載記事を取り上げた。連載記事はすべて電子版にも掲載されており、問題では、連載の他の記事も読み、少女のお母さんの思いを考えてもらうようにした。

 1月22日付ワークシートは、西宮神社(兵庫県西宮市)の行事「福男選び」が3年ぶりに復活した記事を取り上げた。電子版に、境内を疾走し「一番福」を手にした男性のインタビュー動画がアップされており、動画を見て問題に答えてもらうようにした。

 姫路セントラルパークでカピバラがお風呂に漬かっている記事のワークシートでは、直近の約1週間分の朝刊から気になった動物の記事を選んでもらった。

                    ◆

 ワークシート作成にあたって、信頼できる情報を児童生徒自身が探し出す問題も設けている。

 昨年8月のワークシートでは、最近2週間に兵庫県内で熱中症のため搬送された人の数を総務省消防庁のサイトで調べてもらった。昨年12月のワークシートでは現在、日本にウクライナから避難している人の数を法務省出入国在留管理庁のサイトで確認してもらった。最新の具体的な数字をつかむことで、災害級の猛暑やウクライナ侵攻がぐっと身近なものになるように思う。

 秋、兵庫県北部の日本海で捕れる魚類にはどんなものがあるのだろう。ワークシートの設問で、兵庫県漁業協同組合連合会のサイトを閲覧してもらうようにした。ズワイガニ、ノドグロ、アンコウなどが捕れることが分かる。

                    ◆

 私自身が、小学校の出前授業で用いている手法も取り入れている。

 兵庫県北部・朝来市の竹田城跡が雲海シーズンを迎えたという記事では、見出しを考え、電子版の動画も見ながら俳句を作ってもらった。神戸市立王子動物園のパンダ・タンタンを担当する記者のリポートでは、タンタンが寝ている写真から何を夢みているか、せりふを考えてもらった。

 記者のコラムや体験取材の記事に、子どもたちから感想や応援メッセージが届くようになったのもうれしい。

 私は「週刊まなびー」のワークシートと同時に、神戸新聞NIEサイト内のワークシートも作成している。「新聞ワークシート」の可能性を広げたいと考えながら新聞をめくる、試行錯誤の日々が続いている。

※「週刊まなびーワークシート」「神戸新聞NIEワークシート」はこちらからご覧になれます。

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2023年2月21日)