第13回いっしょに読もう!新聞コンクール 最優秀賞(中学生部門)河野地里子さんへの記者からのメッセージ

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受賞者との懇談の様子=2022年12月
17日、ニュースパーク

車社会の安全を願って

 全国的に相次ぐ高齢ドライバーによる事故。福井も例外ではなく、今年高齢ドライバーが引き起こした交通死亡事故は、全体の約5割を占めている。そんな事故を防ごうと、福井県警が導入したのが「運転技能自動評価システム」。センサーやGPSによって、自らの運転の癖を機械が教えてくれるというものだ。

 福井県内は、電車やバスの本数が決して多くなく、さらに駅やバス停が家から歩いて行ける距離にない地域も多い。車の運転に不安を抱える高齢者は少なくないが、車は移動手段として欠かせない。

 導入したシステムの狙いは、運転の癖を知ることで、自身の運転を改めて見つめ直すきっかけにしてほしいということ。取材でも「いい勉強になった。課題を意識し、より注意して運転したい」と好評の声が上がった。

 今回、この記事を題材にしてくれたのが、徳島県の鳴門教育大附属中3年の河野地里子さん。祖父と運転について話し合い「このシステムが普及し、全ての人が安心して運転できる社会になることを願う」とまとめてくれた。

地方紙記者ならではの記事を

 人口でみれば、福井と徳島は同規模県。車社会であり、交通の面で似通う部分も多い。それだけに、徳島県の中学生が私の記事に関心を持って読んでくれたこと、さらにそれについて自分の考えをまとめてくれたことを非常にうれしく思う。

 河野さんは、この記事をきっかけに、祖父が実は運転に不安を抱えていたという「本音」を知った。祖父が「人に指摘されると意地を張ってしまうが、機械に指摘されたら素直に受け入れられる」と言ったことで、機械がもたらす可能性についても言及してくれた。

 私は警察担当記者として犯罪や事故を防ぐためにどういう記事を書けばよいか、地方紙の記者だからこそ書ける記事はないか、どうすれば人々の心に刺さる記事が書けるか、日々試行錯誤を重ねている。今回、河野さんの目に留まったことを励みに、今後も精進してきたい。

小柳 慶祥(福井新聞社記者)(2022年12月12日)