第13回いっしょに読もう!新聞コンクール 最優秀賞(小学生部門)森川遙人さんへの記者からのメッセージ

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受賞者との懇談の様子=2022年12月
17日、ニュースパーク

自分に引き寄せて考える

鳥取県岩美町立岩美北小学校の6年生、森川遙人さんが読んでくれたのは、日本海新聞に掲載された「化学物質過敏症」に関する記事だ。シャンプーや香水、農薬など日常生活にあふれる化学物質で、体調不良に苦しむ人がいる。記事に登場する高校生は、目に見えないつらさを抱えながらも、体調に影響が出ないよう、色鉛筆を使って絵を描いてきた。知人の協力で個展を開き、過敏症について自分なりの形で社会に発信した。

私自身、化学物質過敏症について何も知らなかった。にわかには信じがたい気持ちもあった。取材に向かい、窓ガラス越しの高校生と出会って初めて、本人とご家族の苦悩に触れ、いかに切実な問題かを知った。

社会の「無理解」怖かったけど

森川さんは作文で「僕が出会った人の中にも、同じような症状で苦しんでいる人がいたかもしれない」と自分の生活に引き寄せて考えてくれた。知らないうちに人に迷惑をかけていたかもしれないと思い、ハッとしたという。「社会に理解が広がっていない症状や病気で苦しんでいる人はたくさんいるはず」という言葉に、私も共感した。いつまでも持っていたい視点だと思う。

森川さんはお母様から「人はよく知らないものに対して否定的になりがち」との言葉を受け取った。今回取材した高校生のご家族は、無理解から「わがままではないか」などと心ない言葉をぶつけられ、苦しんだ経験がある。知らないことや受け入れられないことがあると、人を攻撃してしまう。誰もがしうることだ。

だから、この記事を世に出す時、少し恐かった。高校生と家族を否定する言葉が投げつけられはしないか。そんな不安を抱えていた。

でもこうして、記事は森川さんに届いた。「同じ社会で生きている人のつらさや苦しさに目を向けられる自分でいたい」との決意がつづられ、励まされた。高校生と家族は「受け入れてくれる世の中であってほしい」と願っている。森川さんがその思いをしっかりと受け止めてくれたことがとてもうれしい。ありがとう、森川さん。

岩崎 由莉(共同通信社記者)(2022年12月12日)