教材研究の力をつける「新聞スクラップ」

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新聞スクラップを交流して評価する

新聞記事を紹介するミニ模擬授業

 帝塚山大学教育学部では、1年生から「新聞スクラップ」に取り組んでいる。週1回のペースで、教育に関係する新聞記事を切り抜いて、内容を要約、自分がどう考えたかを書く。教育への興味・関心を高め、社会性を身につけて考える力を育成することが目的である。

 新聞を読んだことがない学生が多いので、学生が使える共同研究室に新聞(朝日、毎日、読売、産経)を配架し、さらに、大学図書館が契約している新聞社のデータベースを活用してもよいことにしている。

 また、より幅広く教育について考えることができるように「新聞スクラップ」を交流して評価し合う活動も行っている。7月には、小学校実習を控えた3年生が、小学校6年生に記事を紹介するミニ模擬授業を行った。

 学生は次のように振り返っている。

 「ゴミの問題や新型コロナウイルスの問題、気温上昇の話題など、日常生活で子どもに関係のある話題をどのようにかみ砕き、児童に説明していくのかがとても重要だ。子どもの興味や関心を引き出す工夫が必要であると感じた。日常的にこの問題とどのように関係しているのか、児童が自分事として捉えることができるように指導していく必要があることを学んだ」

 「身近な話題やSDGsに関連することは、授業にも大きく関わる。これからも生活していく上で欠かせないものであるため、そういった話題を積極的に取り入れると良いことがわかった」

 「新聞の内容から他教科や児童たちの生活への結び付けが大切であることを学んだ。教師の一方的な紹介ではなく、みんなで一つの新聞を共有して考えていくことが大切であると感じた」

 このように、新聞記事の教材としての価値も見いだすことができたようである。継続して「新聞スクラップ」に取り組むことで、教材研究の力をつけることにつながるだろう。新聞は、教員養成段階においても有効な学習材となり得るといえよう。

德永 加代(帝塚山大学教育学部こども教育学科准教授/日本新聞協会NIEアドバイザー)(2022年8月2日)