ICT活用したNIEの可能性を探る 浜浦小学校で北信越ブロック新潟大会

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新聞記事で心を育てる:道徳の公開授業

授業後に行われた協議会

関口コーディネーターからのまとめ:ブ
ロック会議

 NIEの「北信越ブロック・新潟大会」が、7月8日新潟市中央区の浜浦小学校(齋藤純一校長)で行われた。また同大会内では、新聞協会主催の「北信越ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議」も開かれた。同会議が本県で行われるのは2014年以来。

 当日は、本県と福井、富山、長野各県のNIE関係者が約20人、新潟県内の教育関係者が約25人が6年生の道徳の公開授業を参観。ICTと新聞記事を使った指導について協議を行った。

 本大会は新型コロナで3年ほど延期されていた。授業は網膜レーザーの医療機器開発者と全盲の学者のインタビュー記事をもとに、共生社会の在り方を考える内容。授業者の小林隆史教諭は、「みんなが同じように見えることは良いことなのか」と問題を投げかけた。子どもたちは「視覚も聴覚も技術で補える時代」の記事を読み深め、仲間との意見交流を通して、異なる感覚や考えをもつ人が大事にされる社会の大切さに気付いた。

 授業後の協議会では、「新聞記事の教材化の工夫、教材提示の仕方が素晴らしい」「互いの発表を聴き、意見を述べ合う学級風土がよかった」と評価。最終的に「『あなたなら』、と自分事に置き換えて考えさせてもよかった」という意見も聞かれた。

 新聞協会の関口修司NIEコーディネーターは、「タイムリーな記事は、子どもたちと社会を結び付け授業を活性化させる。本授業はとっておきのNIEであった」と評価した。新潟県NIE推進協議会の伊藤充会長は、「授業者の資料探し、教材発掘の執念が素晴らしい。全国に誇るべき教職員集団である」と称賛した。新聞界を代表して石山真新潟日報社取締役は、「学びを深めるための新聞活用であり、今後も子どもたちが新聞を読み、親しみ、学ぶ意欲が高まるように支援していきたい」と話した。

ブロック会議では各県の課題と展望を意見交換

 ブロック会議は、浜浦小学校での公開授業・協議会後の講演会(講師は佐藤幸司、山形市立鈴川小学校長)と同時並行で開催した。本県と福井、富山、長野各県の担当者およびオブザーバー参加した新聞・通信各社の 20 人で話し合った。

 新潟県の伊藤会長は「コロナ禍にあっても、広く情報や取り組みを交換し、NIEを力強く進めることに意義がある」とあいさつ。各県の事務局長が推進協議会の運営に関する課題と展望について報告し、意見を交わした。本県からは津野庄一郎事務局長が「実践研究の継続、GIGA スクール対応、人材育成と活 用、ネットワークの拡充」の4つの重点に触れ、今年度新たに始めたNIEスタートカリキ ュラムやNIEリーダーの意義を報告。本県NIEアドバイザーの井上北斗・小千谷中学校教諭は、自校におけるデータベースの試験的運用の効果を紹介し、NIE推進のための条件整備 を求めた。

 関口コーディネーターは、各県の報告にコメントし、「教育の様々な場面で、気軽に 新聞を活用し、子どもたちの社会に対する関心や、読む力を高めてほしい」と話した。

 次回の北信越ブロック会議は 24 年、長野県で行われる。

津野 庄一郎(新潟県NIE推進協議会事務局長) (2022年8月1日)