広島発、新時代の学びとNIEの未来 第100回学習会を中国ブロック会議と併催

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 新型コロナウイルスの感染状況に鑑み、2月からの延期を経て5月8日、中国新聞社ビル7階ホール(広島市)で大きな節目となる「第100回広島県NIE学習会」(写真)を開催した。

 3部構成の第1部には、前広島県NIE推進協議会会長で協議会発足時から長きにわたりNIEに関わってきた小原友行氏(福山大学教授・広島大学名誉教授)から「広島県NIEの歩みと未来への期待」と題した講演があった。 県のNIEの特色(魅力)は、①学習会を通しての「楽しいNIE学習」の開発と人材育成②「育った子どもの姿」で語るNIE③それらを支える学校・行政・大学・新聞社が連携する「パートナーシップ」――であることを再確認した。ご自身も現在進行形で新たな教材開発に楽しみながら取り組まれており、先生の一貫した熱意が伝わる講演だった。参加者からは、「NIEの可能性として共感や感動を生むことができるデザイン思考する授業や視点が述べられていたこと、NIEを通して過去を学び未来をつくっていくというメッセージが印象に残った」といった声が寄せられた。

 第2部は、子どものNIE実践発表で、日本新聞協会や中国新聞社主催のコンクールの受賞者2名(小学6年生と高校1年生)が登壇し、小原氏がインタビューするスタイルで行われた。小6の児童は、なぜ?どうして?という疑問を持つことにだけにとどまらず、自分ならどう考えるか意見を持ち、未来に提起していた。また、高1の生徒からは、「すべての学問は平和の上でこそ成り立つ」と現代に生きる上で本質を突いた言葉があった。ともに新聞を通して自分の心にともしびをつけ、そのともしびを周りの人に波及させるパワーを感じる発表であった。

 第3部は、シンポジウム「本当に必要な情報活用力を育てる~デジタル・オンライン時代のNIEの意義と可能性」があった。海田町立海田西小学校の藤井雅子教諭、中国新聞社編集局デジタルチームの奥田美奈子記者、そして日本新聞協会の関口修司NIEコーディネーターがシンポジストとして登壇し、広島県NIE推進協議会の朝倉淳会長がコーディネーターを務めた。新聞の読み手、作り手それぞれの立場から新聞を熟考していくこと、教育現場にデジタル化が進む中の新たな新聞活用の提案があった。少し難解な文章でも読み続けることで慣れていくと、自らの考えの再構築につながっていくなどの話があり、参加者からは、「学びと事実(現実)をかけあわせることで『生きる力』の育成や、自分はどう生きたいかにつながると感じた。社会科はその架け橋になれる」といった声が寄せられた。

 より良い未来を築いていくために、確かな情報を見極め、情報を有効に活用して自ら判断する力をどう育成していくかを考えたとき、今だからこそ新聞を活用した豊かな学びをともにつくろうと実感した有意義な学習会となった。広島県のNIEの歩みは未来へと続く。

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 第100回広島県NIE学習会に先立ち、中国ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議を同日午前に開催した。岡山・広島・鳥取・島根各県の事務局長とNIEアドバイザーが各地の取り組みや課題を報告し、意見交換した。

坂口 直美(熊野町立熊野中学校校長/日本新聞協会NIEアドバイザー)(2022年5月27日)