1票の意義考えよう 兵庫県推進協が主権者教育で出前授業

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関心のある政治課題について、グループ
討議する生徒たち=兵庫県立多可高校

 兵庫県NIE推進協議会が県内の中学・高校や大学で、1票の意義について考える「選挙報道と主権者教育」の授業を続けている。「18歳選挙権」が2016年に導入されて6年。成人となる年齢を20歳から18歳に引き下げる改正民法の施行も来年4月に迫り、同協議会は「若者の社会参加を促したい」と力を入れる。

 同協議会事務局長が各校を訪れ、新聞の社会的任務である選挙報道について説明する。また、「どの政治課題に関心があるか」を考えるグループ討議や、国の予算額から「1票の価値」を換算するといった実践を通じ、政治を身近に感じてもらう。衆院選を前に今年9月から始め、延べ10回を超えた。

 10月には兵庫県立多可高校(多可町中区東山)で3年生36人に実施。今年7月の兵庫県知事選を取り上げ、世論調査や出口調査をはじめとする選挙報道について説明したほか、新聞社などが主催した立候補予定者の公開討論会の意義についても解説した。

 政治課題についてのグループ討議では「医療従事者を目指しているので、医療の現状に関心がある」「子育てに関心がある。待機児童を減らすため保育士の待遇改善が必要」など、生徒らが活発に意見を交わした。「1票の価値」をお金に換算するのは、滋賀県立大学環境科学部の村上一真准教授が考案した計算式で、生徒たちの興味を引いた。

 投票するかしないかで政策決定が左右されるゲームも行った。同校3年の金沢健斗さんは「選挙に行くのは自分たちのためだと実感した」と話した。

 10代の投票率は国政選挙で低迷していたが、10月の衆院選では回復傾向。会員制交流サイト(SNS)では若者に投票を呼びかける運動も起こった。9月22日に授業を受けた神戸山手女子高校(神戸市中央区)の近藤隆郎教諭は「報道を通して政治や選挙をとらえ直すことは、生徒が視野を広げたり、より深い理解を得たりすることにつながっている」と話している。

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 12月16日に行った兵庫県尼崎市立南武庫之荘中学校の授業では、2年生約210人が事前に記入したワークシート「どの政治の争点に関心があるか」を持参し、グループ討議した。

 生徒たちの選んだ「関心のある政治の争点」はこちら

三好 正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2021年12月23日)