熱海土石流記事から小1が学ぶ「命の大切さ」 兵庫・淡河小
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熱海土石流の記事の感想を書く子どもたち
静岡県熱海市で7月3日発生した大規模土石流の被害を伝える新聞記事から「命の大切さ」を学ぶ授業が5日、兵庫県神戸市北区淡河町萩原の淡河小学校であり、1年生9人が参加しました。兵庫県NIE推進協議会事務局から講師を派遣しました。
同校は2021年度、日本新聞協会のNIE実践校に指定されています。新聞を活用し、他のまちの災害を自分ごととして考えようと企画しました。授業では、「どこでニュースを知ったのか」を尋ね、子どもたちは「テレビを見ていたら急にニュースが流れた」などと答えました。
1年生はまだ記事を読みづらいため、神戸新聞4日付朝刊と5日付朝刊を渡し、写真を中心に見てもらいました。現場の惨状や捜索、避難所、募金活動の様子などを食い入るように見つめ、「ビルが土砂で深く埋まっている」「バスが流されている」「建物に人が取り残されているよ」「助け出されている子どもがいる」「学校に避難している人がいる」などと次々に発表しました。
担任の久保恭子教諭らが記事をスクリーンに映しながら、災害のあらましを説明。子どもたちは「土石流はスピードが速くて怖い」「行方不明の人が生きていてほしい」「最初のニュースよりも多くの建物が流されている」「ぼくも大雨のときは早く避難しようと思う」などと感想を話しました。
神戸市は山と海が近い熱海市に似た地形です。久保教諭は08年7月に神戸市灘区で発生した都賀川水難事故にも触れました。集中豪雨による急激な水位の上昇で、小学生や保育園児を含む5人が亡くなった事故です。
推進協事務局では災害のときの避難について、子どもたちに「事前に家族で話し合っておくことも大事」と伝えました。26年前の阪神・淡路大震災と10年前の東日本大震災の被災地の写真も紹介しながら「自分の命、家族の命、友だちの命を守ることと、弱い人を守ることが何よりも大切」と話しました。
兵庫県NIE推進協議会はこれまで、災害を取り扱った授業で、被災地のブロック紙・地方紙の読み比べなどを行ってきました。今回は小学1年生が対象のNIE授業なので、当初、紙面からクイズの答え(文字)を探すなどのワークショップを考えていましたが、3日、ニュース速報で「熱海市で大規模土石流発生」を知り、急きょ内容を変更しました。記事を読めない子どもたちでも新聞の紙面を通し、「命の大切さ」を感じてもらえたのではないかと思っています。
児童の感想はこちら。
三好正文(兵庫県NIE推進協議会事務局長)(2021年7月16日)