「NIEノート」が育む多面的な判断力

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NIEノートの内容を発表する生徒

 兵庫県西宮市立浜脇中学校は2019年度に「NIEノート」の活動を始め、21年度からは全校生徒(約800人)に拡大し取り組んでいます。NIEノートとは、生徒各自が選んだ新聞記事を貼り付け、感想を書き込むノートです。取り上げる記事は、政治、経済、スポーツ、科学、宇宙、環境など自由で、それぞれが興味を持った分野です。

 生徒たちは毎週、記事を一つ選んでノートにまとめ、社会科の授業の冒頭に電子黒板上でプレゼンテーションします。20年度末に1人1台ずつ配布されたタブレットパソコンを活用する生徒も増えてきました。課題は記事一つを原則としていますが、自ら進んでたくさんの記事を調べたり、記事から発展させてより深い内容を調べたりする生徒も増えています。

 生徒が選ぶ記事には次のような傾向が見られます。

 全校生を通じて、新型コロナウイルス感染症の関連記事が多く選ばれています。「自分たちだけではなく、家族のためにも感染予防対策をしたい」との発表は、多くの生徒の思いでしょう。特に1年生は、コロナ禍の対策についての記事が目立ちました。

 2年生は、社会科で学習した、国連の「SDGs(持続可能な開発目標)」に関連し、自然エネルギーや再生可能エネルギーの活用など「環境」をテーマにした発表をする生徒が増えています。「菅首相、2030年の温室効果ガス削減目標43%に」という記事では、「首相が大きな目標を立てるだけでは意味がなく、私たち一人一人が意識を高めて実際に行動していくことが大事」と発表していました。

 3年生は、「地域の神社に吹奏楽の石碑が建てられた」「『カブトムシが夜行性ではなかった』という小学生の研究がアメリカの学会で発表された」など、自らの実生活や関心事について多様な発表がみられます。

 特別支援学級では、「猫の多頭飼育問題」や「沖縄本土復帰49年続く基地負担」について、自分の興味のあるものを中心に調べています。

 今後も、多面的・多角的に物事を判断できる生徒を育成する環境をつくっていきたいと思います。生徒一人一人が社会や世界の動きに対し、興味や関心を高め、主体的に考える力を身につける取り組みとして、NIEノートを続けていきたいと考えています。

渋谷仁崇(西宮市立浜脇中学校教諭/日本新聞協会NIEアドバイザー)(6月8日)