テクノロジーが拓(ひらく)新しいNIEの形~兵庫からの報告

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児童=2020年7月30日

クラウド上で意見交換しながら紙面を作る
児童=2021年3月10日

 姫路市立豊富小中学校は、特色ある取り組みの一つにNIEを掲げ2020年4月、9年制の義務教育学校として開校しました。「新聞をつくるとつかう」をコンセプトに推進した1年間で大きな節目となったのが、20年9月14日に1人1台のタブレット型端末の整備が完了したことです。児童生徒のアクセスできる情報量が圧倒的に増えたことや、情報の編集・加工・発信・共有が手軽に行えるようになったことで、紙媒体の新聞との併用をいっそう意識できるようになりました。

 新型コロナウイルスの影響で、兵庫県NIE推進協議会による同校への記者派遣事業(出前授業)はすべてオンライン実施。初回(20年7月30日)は5年生3クラス103人を対象に、新型コロナに関する記事をもとに「新聞の読み方」を学びながら、ワークショップを実施しました。大人数でも均質な授業を受けられ、プレゼンテーションソフトの情報を全員が共有している一体感もあり、オンライン授業の可能性を感じた時間でした。

 2回目(21年2月5日)、7・8年生(中学1・2年生)176人を対象に行った「阪神・淡路大震災」をテーマにした授業も、同様のスタイルで実施しました。オンデマンド(録画方式)では実現できないリアルタイムでの質疑応答、ワークショップなど双方向性の高い記者派遣授業を受けることができました。

 これらの成果を反映し、3回目(21年3月10日)は6年生88人が「オンラインまわしよみ新聞」にチャレンジしました。まわしよみ新聞は、それぞれが関心を持った記事を題材に意見交換し、オリジナルの紙面として再構成する手法です。児童は別のクラスの児童と3人1組になり、タブレット型端末を使ってクラウド上でやりとりを重ねました。単に選んだ記事を貼り付けるだけではなく、紙面で最も大きなスペースを割くトップ記事を、クラウド上での投票や話し合いで決め、他の記事の配置も同様に話し合いながら構成していきました。

 ICTを活用し、会話なしで対話する――。この手法は21年1月26日、7年生(中学1年生)を対象に実施した教育関係者向けの公開授業「オンライン多紙読み比べ」がヒントになりました。会話がほとんどない異色の授業公開でしたが、日本各地からオンラインで参加いただいた皆さまから「学びに向かう姿がすばらしい」「新しい形でのチャレンジが大変参考になった」などうれしい感想をいただき、次へのさらなる一歩につながりました。

 私たちの挑戦は、兵庫県NIE推進協議会のご支援、ご助言があってこそ実現しました。今後も、同協議会の秋田久子会長の「生徒がタブレットを通じて意見交換するオンライン授業の長所は『言語化の必然』です。生徒は自分の考えを言葉にする必要があります」(同推進協議会サイト巻頭コラム)という言葉を胸に、これからもテクノロジーが拓く新しいNIEの形を模索していきます。

井上幸史(姫路市立豊富小中学校教頭/日本新聞協会NIEアドバイザー)(5月31日)