第4回NIE教育フォーラムを開催しました

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 第4回NIE教育フォーラムを2月9日、東京・内幸町のプレスセンターホールで開催し、教育関係者ら約100人が参加しました。

 フォーラムのテーマは「社会とつながる――現代的な諸課題に対応する力を育む」。多様化し、グローバル化が進む社会におけるさまざまな課題について、3人の講師から話を聞きました。

 認定特定非営利活動法人ReBitの藥師実芳代表理事は「多様な性についての教育から多様性教育を考える」をテーマに講演しました。藥師氏は、自身の体験を交えながら、教育現場でのLGBTの現状について紹介。LGBTの子供たちが直面しやすい課題として、笑いやいじめの対象になりやすいこと、悩みを周りに相談しにくいことなどを挙げました。近年では新聞等のメディアがLGBT報道を盛んに行うようになり、社会的な知識・理解の深まりを感じていると語りました。今後も、子供たちに正しい知識を伝え、教育現場でさらなる理解を促すためにも、LGBT報道が必要だと訴えました。

 続いて登壇した帝京大学経済学部地域経済学科の古家正暢教授は「グローバル化する社会の中で『学びに向かう力』を育むNIE」をテーマに講演しました。古家氏は、児童生徒の学びに向かう力の育成のために、新聞活用が果たし得る役割について強調しました。グローバル化が進む社会を生きていく児童生徒にとって、探究心や実践力を身につけさせることが必要であると指摘。新聞への投稿や記事の切り抜きなどの取り組みが、対話や新たな問いを生み出すことにつながるとし、複数の実践例を交えながら紹介しました。

 姫路市教育委員会の北村純一管理指導主事は、「幼小中高を通した教科横断的な消費者教育の取り組み」をテーマに、姫路市が進める教科横断的で体系的な消費者教育の取り組みについて解説しました。教科横断的な視点は、新学習指導要領で必要とされているカリキュラムマネジメントにも通ずるとし、普段の授業に少しの工夫を加えることで育成できる力があると話しました。さらに、社会の一員として、より良い社会の発展のために積極的に関与していける消費者を育てることを目指しているとし、必要な意思決定・批判的思考などの力を身につけるために、新聞を通じて社会で起きている出来事に関心を持つことが重要だと指摘しました。幼稚園や小学校の頃から新聞に触れる環境を作る必要性についても言及しました。

 講演を受けて、関口修司NIEコーディネーターから、社会が抱える諸課題に児童生徒が関心を持つきっかけとしてNIEタイムが有効であると報告しました。新聞を読むことで、日常生活と社会を結びつけることができるとし、すき間時間などを活用したNIEタイムの活動を呼びかけました。

日本新聞協会NIE担当(2019年2月15日)