出前授業と生活を新聞でつなぐ
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本校では、6学年でさまざまな機関と連携し、特別授業を行っています。その中で、税務署の職員が児童に税の必要性や種類、そして使われ方などを解説する「租税教室」があります。毎年、6学年で行われています。
児童にとって、実際に税務署の方の話を聞く機会は大変重要です。しかし、これまでは授業が単発で終わってしまい、なかなか生活と結びつかなかったり、社会科などの学習とつながっていかなかったりすると感じていました。そこで、今回は事前学習や事後学習としてNIEを取り入れ、税について生活との関わりの中で捉えられるようにしました。
税に関する記事で児童と話し合う
事前学習で活用したのが、税に関する新聞記事です。特に今の時期は消費税の増税に伴って、関連する記事が多く見られます。その記事を示して、児童とともに考える「新聞トーク」を行いました。例えば「軽減税率」を取り上げた記事では、どんな場合に消費税が8%のままになるのかを確認し、その背景にある理由や問題点などを探りました。
児童は、
「軽減税率を入れることで、家の人があまり物を買わないようにしようという気持ちにならないで済むと思う」
「新聞などはとても大切なので、軽減税率で8%のままの税率にしてくれると買う人が少なくならないで済むので良い」
「お店では、持ち帰りをしようとする人が増えて、普通の飲食店に入る人が少なくなるのではないか」
「スーパーなどの会計は複雑にならないのだろうか」
など、さまざまな感想を述べていました。児童の税に関する興味関心が高まってきました。
税に関する記事をスクラップする
次に、税に関する記事をスクラップする活動を行いました。具体的には18年度の予算に関する記事と日本の借金に関する記事です。予算についての記事では、税がどのように使われているのかを大まかに理解することができました。また、借金に関する記事では、日本が現在抱えている税の問題点について知ることができました。
児童はスクラップをしながら、
「このような予算はどのように決めているのか」
「これから、日本のお金の使い方をどのようにしていかなければならないのか」
など、具体的な感想を書くことができました。
新聞を活用して、税についての意識を高めることができました。この活動を生かして、実際の租税教室を行い、また事後の学習も充実させていきたいと考えています。
菊池 健一(さいたま市立海老沼小学校教諭/NIEアドバイザー)(2018年11月29日)