北信越ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議報告

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 2018年度の北信越ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議が11月16日(金)、福井市の福井新聞社・プレス21で開催され、北信越3県から20人が参加しました。各推進協議会の活動発表や意見交換等教育現場での新聞活用を広げる情報交換を行いました。

Ⅰ 開会あいさつと基調提言

 福井県NIE推進協議会会長の松友一雄氏(福井大学教授)の開会あいさつ後に、日本新聞協会NIEコーディネーター関口修司氏から「学校図書館での新聞活用」というテーマで基調提言がありました。新学習指導要領とNIEについて、平素から親しませるには、日常化の環境づくりが大切であること。図書館で活用させるには、学校司書の活用や活躍が必要であること。多面的・多角的に考察させるには、複数紙の読み比べをさせること。今後の課題として、「チーム学校図書館」の構築の必要性、新聞の複数配置、NIE環境整備と活用の三つが提案されました。「NIEタイム」で培える資質・能力等が多い(文章の論理的な理解、批判的な読み、要約力、質問力、文脈から推測する力、文章表現力等)。最後に、こつこつと着実にNIEを広げましょう!というまとめがありました。

Ⅱ 推進協議会の取り組みと交流

1 NIE手法を知る、広めるために

 日本新聞協会の中畑氏より、学校図書館図書整備等5か年計画の説明があり、新聞配備として小・中・高等学校に合計30億円が予算化されていることがわかりました。宮崎県の高等学校入試問題の英語の問題にNIEが取り上げられているという説明がありました。また、日本新聞協会NIEサイトでは、教育実践データベースや授業ですぐに活用できる新聞社のワークシートがあることの紹介がありました。

2 各県推進協議会の取り組みと課題

<長野県>

  • 長野県NIE研究会は、今夏の知事選に合わせ、信濃毎日新聞社と連携。候補者二人の政策を比較した紙面を活用した模擬投票を呼び掛け、6校約1200人が参加しました。同校研究会会長の有賀久雄松本工業高等学校教諭(NIEアドバイザー)は、同校3年生の投票率が78%と松本市全体の38%を大きく上回ったことに触れ、「主権者教育を進める上で新聞は実践的で有効な教材」と述べました。

  • 「書見台をDIYしよう」の呼びかけをして、NIE実践指定校の技術科の先生が設計図を描き、県内の希望者に提供しました。

<新潟県>

  • 新潟県NIE推進協議会の土屋修事務局長は、学校のホームルームやNIEタイムで活用できる「新聞遊び」を紹介する冊子を作り、来年1月に配布すると説明。

  • NIE普及の課題として、学校司書や司書教諭との連携、アドバイザーの育成を挙げました。

<福井県>

  • 福井県NIE推進協議会の薮内弘昌事務局長は、福井県が県教育振興基本計画の「社会への参加を進め、高度な専門知識・技能を身につける教育の推進」「福井の教育を支える教員の指導力をさらに向上」で新聞を活用した学習(NIE)をうたっていることを説明しました。

  • 教員対象の研修会の開催...今年は、10月30日(火)に小浜市で開き、四つの実践指定校が取り組みを報告し、三つのワークショップ(アドバイザー・研究推進員が講師)を行いました。

  • 実践指定校終了後のNIE継続、新聞活用の日常化、出前授業の推進、NIE推進協議会内の連携が今後の課題。

<富山県>

  • 富山県推進協議会事務局長が欠席のため、日本新聞協会の中畑氏が代読。

  • 協議会会長は県小学校校長会長。

  • NIEアドバイザーは、県内二つの教育事務所から指導主事2人ずつの計4人。

  • 11月22日(木)NIE研究発表大会(小1校、中1校)。

  • 滑川市立西部小学校から公開授業を行う2年生(3クラス)への記者派遣の協力要請があり、2社から3人を派遣。

<石川県>

  • 石川県推進協議会事務局長が欠席のため、日本新聞協会の中畑氏が代読。

  • 実践指定校の報告書「石川県NIEの記録」を500部作成。県内の小中高校、県教委、市町教委に配布。

  • 議会総会年1回。

  • NIEアドバイザーの不在をどう解消するか。新聞を読む習慣づくりのきっかけ、NIEの活動情報を共有化、保護者を対象にした気軽なセミナーが課題。

3 意見交換

 三つのグループに分かれて、「新学習指導要領の趣旨を生かしたNIE」をテーマに意見交換を行いました。

<グループ1>

  • NIEの日常化として、朝学習の時間に「コラムうつし」と感想を毎週書くことを継続しています。

  • 今年の豪雨や台風などの影響があった新聞記事を活用して、防災計画の見直しを考えました。

<グループ2>

  • 道徳科の授業で福井国体をテーマに郷土愛をねらいとして「切り抜き新聞から広がるNIE」を実践。

  • 自分が集めたい新聞記事を取捨選択して、お互いにやり取りしました。その際「Xチャート」という分類法を使って、グループで話し合うことで対話的な学びができました。

  • 研究授業後にあった授業参観でも、切り抜き新聞を活用して、グループに保護者に参加してもらって発表することで「社会に開かれた教育課程」にもつながりました。

  • その後、教職員の現職教育・研修会でワークショップに切り抜き新聞を活用して、広がりのある研修になって、深い学びにつながりました。

  • 社会につながる学びとして、毎週、実践指定校やアドバイザー、研究推進員に「授業に生きる新聞記事」をメールにて配信。福井県内の小中高校で、各学年や各教科のさまざまな単元で活用されています。

  • 長野県では、新聞社に「新聞記事にルビをふってほしい」という要望があります。一部で要望に応えているが、先生方の意見は。→児童には、「何となく分かるようにしましょう」と言っています。推測して読む、意味を考えることを指導しています。

  • 新学習指導要領に向けて、NIEでできることという視点を持ち、授業者として押さえておきたいこと(例:来年10月の消費増税のメリット・デメリット)も念頭に入れて指導することが、今後、大切になってくるということを共通理解しました。

<グループ3>

  • NIEを地域に広げていくのが難しい。そのために新しいネタが必要。例えば、勝山の朝市ではがき新聞を配布。

  • はがき新聞を子供同士で交換し、共有することにより、主体的・対話的で深い学びが広まっていく。

  • スピーチコンテストにより、ゲーム性のあるものを通して、いろいろな人の意見を聞くことが大事。

  • NIB(Newspaper In Business)を福井県では企業・会社で新聞記事を活用して、まわし読み新聞が新入社員の研修に有効であった。NIG(Newspaper In Generation)、NIC(Newspaper In Class)、NIA(Newspaper In Area)、NIESD(Newspaper In ESD)など、さまざまな場面で新聞活用ができそうだ・・・。

<まとめ>

 関口コーディネーターが、北信越3県の取り組みに対し感想を述べました。

 「社会に開かれた教育課程」「カリキュラム・マネジメント」「主体的、対話的で深い学び」「資質・能力の育成」等、新学習指導要領に向けて、NIEの有効な取り組みが期待されています。例えば、主権者教育、防災・安全教育、SDGs、道徳科、オリンピック・パラリンピック(国体)など、さまざまな分野、教科において考えられます。

 今後の展望として、

  • 日常化(カリキュラム化、NIEタイム、ワークシート)

  • 読み比べ(報道・社説、全国・地方紙)

  • 学校→家庭→地域NIE

 NIEアドバイザーを中心に家庭や地域を巻き込んでいくことが期待されています。

4 次期開催地について

 2020年度に新潟県で開催。日程は後日検討します。

駒野 俊美(越前町立城崎小学校教諭/NIEアドバイザー)(2018年11月28日)