東海ブロックNIEアドバイザー・推進協議会事務局長会議報告

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 東海ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議は6月23日(土)、静岡新聞社(静岡市駿河区)を会場として行われた。愛知、岐阜、三重、静岡各県のNIE推進協議会事務局担当と、各県のNIEアドバイザー、日本新聞協会の担当者計24人が集った。

会議の概要は以下のとおり。

Ⅰ 会長あいさつと基調提言

(1)開会あいさつ 静岡新聞社 取締役社長室長 大須賀 紳晃 氏

(2)NIEを知る、広めるために 日本新聞協会新聞教育文化部NIE担当副主管 吉田 融 氏

① NIEを取り巻く環境の変化...新学習指導要領とNIE・学力テストで新聞登場

② NIEアドバイザーから広めるNIE活動...46都道府県249人(当時)

③ 新聞協会「教育に新聞を」ウェブサイトを広報資料として...教育実践のデータベースやダウンロード可能なワークシートなどのコンテンツの活用を

④ 「いっしょに読もう!新聞コンクール」で実現するアクティブラーニング

(3)基調提言「現代の教育課題とNIE」日本新聞協会NIEコーディネーター 関口 修司 氏

 女子高生の1日のスマートフォン利用時間は多いが、スマートフォンを使わない群の学生の方が学力が高く、使いすぎは脳に害を与える。

 最近の子供たちの読解力は十分でないことを裏付ける調査結果がある。子供が習得すべき読解力・論理力・数学力のうち、今求められている読解力は、従来の文章のみの読解力ではない。文章に加えて写真・図表・グラフを読み取る力が求められている。

 2018年度の全国学力・学習状況調査(国語)の分析。長文・多様な文章・資料に日常から接し、文章の構造を把握し、批判的に読んだり、文章を書いたりする力が必要とされた。

 今必要とされている読解力、すなわち、文章の論理的な理解、批判的な読み、要約力、質問力、文脈から推測する力、文章表現力などは、NIEタイムで培える。NIEタイムは効果的である。皆さんは、日常的に新聞を読む大切さを伝えてほしい。

Ⅱ 推進協議会の取り組みと交流

(1)NIE全国大会を経て、愛知県内でのNIEの課題と展望   

  中日新聞社 新聞・教育センター副委員長 山田 伝夫 氏、名古屋市立志段味西小学校教頭 中井 敏勝 氏

 NIE全国大会をきっかけに、大会に関わった教員の連携が生まれつつある。これまであまり交流のなかった県内の公立私立の高校教師が大会をきっかけに初めて会合を持ち、以後継続的に集まることになった。こういった連携の動きに対して推進協議会としてどのような協力ができるのか、意向を探りたい。

 協議会予算について。全国大会に向けて16年度から臨時値上げを行い、以後継続している。しかし、毎年恒例の事業費用を除くとほとんど余裕がないのが現状であり、全国大会で広がったNIEへの関心を高めるためにも、新たな取り組みを検討しているが、できることが限られる。

(2)各県推進協議会の取り組みと課題

 各県担当が取り組みと課題について発表した。いずれの県においても、NIE実践の報告会等が毎年定期的に開催されている。課題としては、より多くの教員が継続的にNIEに取り組めるように情報を発信しネットワークを築くことが挙げられた。

(3)意見交換 (進行:関口NIEコーディネーター)

[テーマ・課題]「新学習指導要領の趣旨を生かしたNIEについて」

 3グループに分かれ、各県で実施しているNIE活動について意見交換を行った後、代表者が概要を報告した。

 各グループでは多様な実践例が報告され、新聞活用の魅力と可能性に共感が得られた。

 新聞を読むことにより生徒の力がつくことを実感しているという報告がある一方で、教員によって取り組みの温度差を感じるが、連携が大切である、という意見も出された。

 意見交換後、関口氏が、「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」「思考力・判断力・表現力」の育成に新聞活用が有効であり、連携が効果を生むとまとめた。

Ⅲ 閉会挨拶 静岡県NIE推進協議会 会長 安倍 徹 氏

 新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」が求められているが、体験的な活動を重視するあまり、知識の定着がおろそかになってしまわないように、新しいキーワードに踊らされず王道を行くべきである。その点でNIE活動に自信と誇りを。

 同じ東海地域でそれぞれ、NIEに熱心に取り組んでいる人々が一堂に会して想いを共有することは意義深い。

 新しい学習指導要領で求められている学びはNIEタイムで養われる。NIEに取り組む際には、児童生徒のどのような能力を伸ばすのか、ねらいを明確にすることが大切であることを、関口氏の基調提言から感じた。

NIEの魅力は、各教員の得意分野に応じた多様な方法を取り入れられる柔軟性があることだ。各県からの報告や意見交換を通じて、実践のヒントが得られたことと思われる。出席者は各県にもどって、NIE活動を継続し、広めていく。次の機会にその成果を聞くことを楽しみにしている。

吉川 契子(静岡県立清水西高等学校教諭/NIEアドバイザー)(2018年9月20日)