近畿ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議報告
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近畿ブロックNIEアドバイザー・NIE推進協議会事務局長会議が8月10日、大阪市立天王寺中学校にて開催されました。アドバイザー、事務局長ら計21人の参加者により、「NIEの効果を検証する」をテーマに話し合われました。
石井読売新聞大阪本社販売局販売開発部長の開会あいさつの後、吉成コーディネーター、植田アドバイザー(大阪)によるNIE全国大会秋田大会の報告があり、引き続き、学力新時代のNIEについて意見交換しました。
石井氏:選挙権年齢が18歳以上になった。若者に社会参加を促すには、NIEがますます必要となる。同時に新聞社の役割もますます重要になる。
吉成氏:充実した秋田大会であった。全国アドバイザー会議も9回目。ねらいは、アドバイザーの力をつける・教材開発である。静岡大会では「教師の自主性」、徳島大会では「新聞だからできた授業」、秋田大会では「教育効果を検証する」と内容も高まってきている。今回は11のグループに分かれ報告し合った。記録はアドバイザーがその場でまとめて提出。年々アドバイザーの交流が盛んになり、課題が共有されてきている。
植田氏:特別分科会は二田アドバイザー(奈良女子大学附属中等教育学校教諭)が講師を務め、好評で大盛況だった。21世紀型学力、アクティブ・ラーニング、未来を生き抜く力、紙とICTの融合等について報告があり、ワークショップが開かれた。まとめは、「価値判断の違いと多様性が、紙面として視覚的に理解でき、かつ他者理解、共同へという一連の学習活動が可能な点で、NIEでの紙面づくりは他の活動に秀でた活動+新聞社との共同」である。
学力新時代について意見交換(発言者氏名略)
- 現場は、アクティブ・ラーニング、ICTと新しいものに向いている。型に決めてしまいがち。NIEも進めば進むほど多様な面が出てきている。
- 新学習指導要領の目玉、アクティブ・ラーニングは昔から取り組まれているもの。子供たちが楽しく1時間を過ごせる取り組み、教育の原点をもう一度考えてみる。
- 心が揺さぶられる教育、取り組みが大事。NIEの取り組みがまさにそれである。NIEが提唱されて30年、NIE全国大会も20回と丁度節目である。これからが大事。
- 親しむ、広める。学校教育の中にNIEを取り入れていくことが大切。公教育は最後の砦。(学校に行けば新聞がある、読める)そういうことを考えながら子供の変容をまとめていくことも大切。学力だけではない。アナログ、ICTを上手く使いながら、人を育てていく大切さを感じている。
- 教師の落差が大きい。新聞を読んでいない教師が多い。
- NIEとICTの融合が新時代。研究会も若手の先生が入らず、じり貧になってきている。(教科書に)新聞活用が挙がっているが、新聞を購読していない。だのに何を教えるか。
- 個々の学習には、なかなかICTは浸透していないのではないか。一般的ではない。技術的にも予算的にも。それでもやらなければならない。先の時代に向けて。
- 教師に温度差がある。教科書以外のことはしたくないという教員もいる。余裕のある人は、教科書で教えるよりもNIEが理解しやすいと言うが。カリキュラムにNIEを導入していくことが重要。途切れないために。積み上げていくことが大切。
- 各実践校で頑張っているが、点から線に、そして面になかなかならない。
- 若い教師が頑張っている。そんな教師を応援し、育てていきたい。
- 小中連携。この10年でNIEが縦に繋がってきているのではないか。高校でも、今までに実践したことのある生徒が増えてきている。
- 新聞を、親が読んでいるから、子どもは読まなくてもよい。親が教えてあげるという家庭もある。ICTでは、スカイプで記者に語ってもらうこともしている。
- アクティブ・ラーニングはNIEでできる。
- デジタル、アナログをどう使えばよいか考えていきたい。
- NIEが進んでいるか否か、原点に返って考えていきたい。また、多様性にどのように対応していくかも重要な課題だ。
以上、予定の時間をオーバーして目の前の課題を解決すべく熱心に意見交換されました。最後に、枝元氏(大阪NIE推進協議会参与)のまとめで閉会となりました。
全体討議を受けて
枝元氏:学力新時代のNIE。「真の学力とは何か」。簡単には片付けられない。「学力」について学んだが分からない。思想に類するものではないか。「生きてはたらく力」「課題発見力」「課題解決力」と言う人もいるが、何とは言えない。しかし、新聞を読むことによって「学力」に近づけるのではないか。
ICTはまだまだ普及するのに時間がかかるだろう。新聞を使った学習の方法論を考えるのが先だ。横浜国立大学の高木教授が研究しておられる。方法論が確定していないのに解決のしようがない。実践者の集まりである皆さんでNIEが学力を高める実証をしてほしい。悲しいことだが、この10年、新聞の購読は減少している。それを救うのは、いかに若手の教師をNIEに取り組ませるかだろう。それには人間関係しかないのではないか。関西がNIEを引っ張って行く。それができると確信している。
安田陽子(大阪NIE推進協議会/NIEアドバイザー)(2015年9月18日)