2014年度 特別支援教育におけるNIE⑧(岐阜県立関特別支援学校高等部の実践〈1〉)
- NIEトップ
- リポート NIEの現場から
- 2014年度 特別支援教育におけるNIE⑧(岐阜県立関特別支援学校高等部の実践〈1〉)
新聞で新たな発見!! ~もっと×2 言語活動~ その1
1 昨年度の実践から
本校では、昨年度よりHR活動においてNIE教育の実践を行っている。新聞を購読している家庭は、対象生徒の75%である。NIE教育を始めた頃は、新聞を全く読まないか、テレビ欄のみ、見たことがある生徒がほとんどであった。昨年度は、「新聞に慣れよう」というテーマのもとSHRやHRで毎日新聞記事を紹介したり、各教科でそれらをもとにした掲示作り、小論文等に取り組んだりした。昨年度の取り組みからの成果(◯生徒より、◎教師より)と課題(●教師より)は次のようである。
◯新聞をときどきまたは必ずチェックする習慣が付いた。
◯世の中のニュースが自分の生活につながってくることが分かった。
◎文章に接する機会が以前よりも格段に増え、伝わりやすい文章で書く、話す姿勢が高まった。
◎キーワードで文章をまとめる作業では、多くの情報を関連付けて考える姿勢が身に付いた。
●記事を取り上げて終わりではなく、その後も調べていくと新聞から広がるおもしろさが分かるのではないか。
2 生徒の実態
全日制普通科の教育課程で学習している高等部の生徒たちを対象に行っている。全員が肢体不自由の障害をもっており、四つの小グループに分かれて学習している。一般の同世代の若者に比べ、どうしても社会経験が不足しがちであるが、将来的に一般社会で自立していきたいと考えている生徒たちである。言語力の面では、幼い頃より、肢体不自由があることから言葉で自分の意思を表現する機会が多く、「話す」「聞く」活動は比較的活発にできる。「書く」「読む」力に関しては、個人差が非常に大きく、見出し文やリード文を中心に読む生徒もいる。
3 本年度の実践(昨年度の課題を受けて)
(1)ニュース紹介、新聞記事やコラム欄の要約 (2)「食」の探求
4 付けたい力
・コツコツと新聞に接する中で、「読む、書く、話す、聞く」機会を増やし基礎的な言語活動の力を伸ばす。
・「食」という一つの言葉を様々な側面から捉えることで、多面的な物事の見方や考え方を養う。
・「食」に関する意見交流を通して、自分の考えを広げ深める。
5 実践方法
(1)ニュース紹介、新聞記事やコラム欄の要約
①毎日のSHRで生徒がニュースを紹介する。
②毎日のニュースを掲示する。
③新聞記事やコラム欄を要約する。
(2)「食」の探求
①キーワード「食」を含む新聞記事を全員で切り抜く。
②各教科で「食」に関する授業を行い記事と共に掲示物にまとめる。
③学習グループごとに掲示物を使って「食」に関するプレゼンテーションを行う。
④意見交流、感想で考えを深める。
・各教科の実践
国語総合 |
体によい食事とは何か |
生物基礎 |
ミドリムシの大量培養と食糧危機 |
国語表現 |
ふるさと納税と地域の特産物 |
保健 |
高齢者の食事 |
世界史A |
イスラム教ハラール食品 |
コミュニ英Ⅰ |
パルメザンチーズは使わないで |
世界史B |
缶詰の歴史 |
コミュニ英Ⅱ |
福島産コメ震災後初の海外輸出へ |
現代社会 |
食と現代社会の諸問題 |
家庭総合 |
食中毒 |
数学Ⅰ |
ニホンウナギ漁獲高の推移 |
商業 |
米作り農家のこれから |
東海慧子(岐阜県立関特別支援学校高等部教諭)(2015年3月16日)