PISA型読解力とNIE④
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前回、OECDのPISA調査で測定されている「PISA型読解力」の要素として挙げられている「解釈・統合」の力を育てるためのNIEについて提案いたしました。今回は三つ目の「熟考・評価」の力を育てるための実践を紹介したいと思います。
1.「熟考・評価」
PISA型読解力を構成する要素として「熟考・評価」の力が挙げられています。資料から読み取ったことについて、自分の生活や経験と関連付けて考えを述べる力や、資料を批判的に読む力などが求められます。そして自分の考えを表現する際には、「解釈・統合」のときにも重要であったことですが、本文に書いてあることを必ず根拠にすることも大切な視点になります。日本の子供たちは特にこの力が弱いとされています。
新聞には、毎日様々な内容の記事が掲載されています。それらの記事をスクラップして、自分の生活や体験と関連付けた感想を書く活動を繰り返すことで、常に自分の考えを持つことができるようになってくると考えます。また、必ず記事の内容をもとにして考えを述べることにより、記事を正確に読む力も身に付いてきます。さらに、新聞記事を読み比べることで、記事について批判的に読む力も付いてくると考えられます。このようなことからも、新聞は「熟考・評価」の力を育むのに最適な教材であると思います。
2.記事の感想を表現する活動
「熟考・評価」の力を高める方法として勧めたいのが、記事を読んで考えたことを記述する活動です。このときに大切なのは、前述したとおり書いてあることをもとにしているかどうかということです。また、自分の生活や経験と結び付けたものになっているかも重要です。記事を読んだときには、記事を読んで考えたことをまとめる活動を行いたいと思います。
また、同じ内容の記事を違う新聞で読み比べてみるという活動もおすすめです。どちらの記事の方がより分かりやすく感じるかなどを考えたり、話し合ったりすることで、批判的に読む力が育ってくると考えます。
3.児童の反応
児童には毎週の新聞スクラップの時間に、読んだ記事の感想を書かせています。最初は、単に「・・・と思った」というような感想が多かったのですが、活動を繰り返すうちに、「・・・と書いてあるから、・・・と思う」「もし私だったら・・・」という感想が多くなってきていることからも、PISA型読解力の「熟考・評価」の力が育ってきていると感じています。
これからも、新聞を活用しながら、児童が批評的に記事を読める力や考えたことを表現する力を高めていきたいと考えています。
(つづく)
菊池健一(さいたま市立東宮下小学校教諭/NIEアドバイザー)(2014年10月24日)