特別支援教育におけるNIE③(視覚障害 2)
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さまざまな媒体を使って新聞を読む
一般に、盲学校の生徒はみな全盲で点字を使っているとの誤解がありますが、生徒の多くは弱視であり全盲生は一部に過ぎません。知的障害などを併せ持つ重複障害生も半数近くを占め、文字によるコミュニケーションができない生徒も多数在籍しています。したがって、1人一人が異なる見えにくさを持ち、新聞を活用する際にも、それぞれの生徒に合わせた対応が必要になります。
全盲生で点字を使える生徒は、「点字毎日」の点字版を読むことができます。新聞ではありませんが、毎日新聞社の「Newsがわかる」の点字版で時事問題を学習する者もいます。弱視生は補助具を使って新聞を読むことができます。ルーペで紙面を追うことができる生徒もいれば、拡大読書器を使って大きな画面で確認することもできます。比較的視力の高い生徒の中には、時間をかければ裸眼で読める生徒もみられます。その反対に、症状が進行して文字の判読は不可能になる生徒もいます。点字の習得には時間がかかりますから、「点字毎日」のような音声版があればそれを使ったり、新聞社ホームページの音声案内も利用が可能です。専攻科の成人生徒の中には、各社の新聞紙面を音声情報として編集して販売する「マイニュース」などのツールを活用する生徒もいます。
なかなか新聞を読まないという状況は普通校と変わりませんが、新聞情報の存在を知り、それらにアクセスするための方法を学ぶことも、盲学校におけるNIEの重要な要素です。
NIEアドバイザー/千葉県立佐原高等学校、前千葉県立千葉盲学校教諭 石毛一郎(2013年5月8日)