第15回NIEセミナー開かれる(東京都NIE推進協議会主催)

  1. NIEトップ
  2. リポート NIEの現場から
  3. 第15回NIEセミナー開かれる(東京都NIE推進協議会主催)

 8月15日(水)に東京都NIE推進協議会主催の第15回(平成24年度)NIEセミナーが日本プレスセンタービル8階の会議室で開かれた。
 今年のセミナーは「NIEの多様な実践」をテーマに、東京、千葉などから50数名の小・中・高の先生方や新聞、マスコミ関係者が参加し盛会であった。
 戸田勝昭東京都NIE推進協議会会長(都立第一商業高校校長)、同須藤修副会長(産経新聞社)の挨拶のあと、5本の研究発表が行われた。今年の研究発表は、小・中一貫校、中・高一貫校、夜間中学、特別支援学校など、日ごろあまり馴染みのない学校のNIE実践が発表され例年に比べユニークなものであった。小学校では、八王子市立七国小学校の片岡大昌先生が「NIEで国際感覚を養う」との題で発表。これは一昨年から東京都NIE推進協議会が始めた先導試行研究(一つのテーマを立て、それが小・中・高の学校段階でどのようにNIEとして実践できるかを研究、昨年度のテーマは「NIEで育てる国際理解」)の昨年度の小学校での例として、先生が前任校の北区立東十条小学校で実践された新聞の国際記事を使った実践が発表された。
 中学校では、江戸川区立小松川第二中学校夜間学級の実践を同校の白川行彦先生が発表された。夜間学級は全国でも38校、東京には8校しかない学校で、小松川第二中では現在、生徒の年齢も10代から70代まで、国籍も中国、フィリピン、ベトナム、アフガニスタンほか多国籍にわたっているとのことで、日本語もよくわからず、現地でも学校教育を十分受けてきていない生徒に小学生新聞を使って、日本語や現代の日本を理解させる授業実践が発表された。続いて武蔵村山市立小中一貫校村山学園の熊谷浩先生が、第5学年と第8学年の国語の授業で、年齢の離れた異学年での授業展開の実践例を発表された。東村山市は全市を上げてNIEに取り組んでいるユニークな市である。
 高校では、都立小石川中等教育学校の畑綾乃先生が主として高1から高3の生徒を対象に投書や社説を活用し、関心・意欲を高め、話す、書く、聞く、読む能力を高める国語科の実践例を発表された。続いて筑波大学附属桐ヶ丘特別支援学校の大塚恵先生が、一般の生徒と比べ社会と接する機会の少ない肢体不自由児に、新聞を読むことを通して、いかに現実の社会との関わりを持たせるかの実践を発表された。
 研究発表のあとの講演では、朝日新聞石巻支局長の川端俊一氏をお招きし、「東日本大震災の被災地における取材と報道の意味」と題してお話をいただいた。仮設住宅の問題、水産加工業の復興、瓦礫の処理、大川小学校の悲劇など、現地での地道な取材を通してしか聞けない、震災から1年数か月経った現地の様子を詳しくお話しいただき、参加者の高い関心に応えていただいた。
 

東京都NIE推進協議会事務局長 高橋 通泰(2012年8月22日)