忙しい先生は他のメディアも利用して!
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新聞を効率的に、深く読むための方法。それは他メディアの長所をうまく活用することです。
テレビは速報性に優れています。午後9時台から午前0時ごろまで、どこかのチャンネルで必ずニュース番組をやっています。取り上げる項目は、その日の主な出来事です。翌日の新聞にも掲載される確率が高いのです。テレビニュースを見落とした場合は、インターネットがあります。新聞社や通信社が自社のホームページでニュースを配信しています。前夜のうちに見ておけば、だいたい翌日の新聞のメニューが想像できます。
新聞の長所は解説性や物事を掘り下げる機能です。前夜に知ったニュースを踏まえておけば、解説や社説をいきなり読むことができます。“オリジナルの記事”も、じっくり読むことができるのです。
オリジナル記事には解説、コラム、企画記事、評論、ルポなどがあります。生活、学芸、文化、科学、教育欄も大半が独自取材の記事です。
なかでも企画記事を読まなければ、購読の意味がないと思えるほどです。時間をかけて取材し、念入りに推敲(すいこう)します。事柄の背景を探り、多角的に問題の本質に迫ります。締め切りに追われて書くニュースとはそこが違います。とりわけ、新年から始まる企画記事は各社とも力を入れ、何か月も前から取材しますから、読みごたえがあります。
宮城・上高森遺跡の旧石器ねつ造を報じた
2000年11月5日付の毎日新聞朝刊
(毎日新聞東京本社提供)
オリジナルといえば、欠かせないのが「特ダネ」です。一社だけが報じたスクープのことです。「××地検もこの事実を把握している模様だ」という表現を目にしたことがあると思います。これは、検察庁担当の記者が、独自取材で裏を取ってはあるけれども、取材源を明かせないので、苦肉の策で編み出した表現です。この表現があれば、まず特ダネとみて間違いありません。官庁記事に出てくる「方針を固めた」も、独自取材である場合が多い表現です。しかし、これらは時間がたてば発表されるものではありますが―。
これに対し、日本新聞協会賞を受賞するような大スクープともなると、新聞社名が主語になったりします。2000年の11月5日付「旧石器発掘ねつ造」(毎日)もそうです。「毎日新聞社はビデオ撮影で確認した」となっていました。特ダネにも松竹梅があるのです。
新聞はオリジナル記事こそが面白いのです。全紙に目を通し比較することは、よほど時間のある人か、仕事で必要な人以外は無理なことです。われわれは多メディア時代に生きています。超多忙な先生のためには、新聞をしっかり読むためにこそ、他のメディアに手伝ってもらうことをお勧めします。
(毎日新聞東京本社・関博至 2008年4月)