「保護者に対する調査」(2004年7月)結果概要
日本新聞協会(日本新聞教育文化財団=当時)は04年1~3月、NIEを実践している児童・生徒の保護者を対象に「保護者は新聞活用授業をどう考えているのか」を調査した。
調査は東京都、大阪府、新潟県、鹿児島県のNIE実践経験のある小・中学生の保護者(各地域小・中各2校の計16校)を対象に行い、保護者の10人中9人が新聞活用の授業は「よいことだ」と回答。調査結果の概要は以下の通り。
話題のニュースを親子で対話
「NIE」という言葉を知っているかの問いでは、全体では3割が「知っている」と答え、半数近くが「知らない」と回答。「聞いたことがあるが、意味が分からない」を加えると約7割が言葉を理解していなかった。
子どもが自宅で新聞を読む習慣があるかの問いでは、1割強が「毎日読む」と答え、「ときどき読む」を合わせると、7割近くの子どもが家庭で新聞を読む習慣があった。
「子どもが新聞を読んだことについて親に話すことがあるか」では、「ある」がほぼ半数を占めた。具体的にどのような記事について話したかを聞いたところ、野球やサッカーなどスポーツに関する記事(144件)の回答が最も多かった。またテレビニュースなどで話題になっている記事(80件)やテロや自衛隊派遣などのイラク戦争(66件)の回答も多かった。
子どもに注意喚起
「親が新聞を読んだことについて子どもに話すことがあるか」では「ある」が4分の3を占めた。内容はテレビニュースなどで話題になっている記事(153件)が最も多く、次いで子どもが巻き込まれた事件(91件)やイラク戦争に関する記事(86件)、同年代の子どもに関する記事(79件)が上位を占めた。
親からの話題は、いじめや児童虐待、少年犯罪など子どもに関する事件が多いのが特徴で、わが子に注意を喚起する姿がうかがえる。
新聞は社会に関心を持つきっかけ
新聞を使った授業を受けたことによる子どもの変化については「記事について家族や友だちと話すようになった」(45.5%)がトップで、次いで「新聞を進んで読むようになった」(31.1%)「自分で調べる学習態度が身についた」(30.8%)となっている。
子どもが新聞を使った授業を受けていることについてどう思うかの問いでは9割が「よいことだ」と回答している。その理由としては「社会に関心を向けるきっかけとなる」(85.9%)が圧倒的で、次に「家族や友だちと社会のことを話題にして話し合えるようになる」(43.5%)となっている。
新聞を読むことでコミュニケーションが増えたり、視野が広がったりすることを期待していることがうかがわれる。
一方、「問題がある」と回答したのは1.7%とごくわずかで、理由は「偏ったものの見方が教えられる恐れがある」「記事や広告に子どもに読ませたくないものが含まれている」などだ。
分かりやすく多面的な報道を
教材として新聞を使う場合、先生が気をつけてほしいことでは「先生の考え方を押しつけない」(46.3%)がトップだった。また、「子どもが読むのに不適当な記事、広告を選別した上で教材として使う」「子どもが興味関心を示した記事、広告を取りあげる」も2割近くを占めた。
教材として新聞を使う場合に、新聞に求めるものとしては「言葉の説明など、簡単な解説記事を増やす」(51.8%)が最も多かった。また「事実を多面的に報道する」(34.6%)「子どもが読めるように分かりやすく記事を書く」(33.4%)が多く挙げられた。
調査概要
調査対象
NIEを実践している小・中学生の保護者
調査方法
郵送法(各学校を経由して保護者が回答)
回答者数
小学校 | 8校 | 605人 |
---|---|---|
中学校 | 8校 | 543人 |
計 | 16校 | 1,148人 |
調査期間
2004年1~3月
調査項目
- NIEの認知度
- 新聞を読む習慣
- 子どもが親に話す新聞記事
- 親が子どもに話す新聞記事
- 子どもの変化
- 新聞活用授業の評価
- 先生に気をつけてほしいこと
- 新聞に求めるもの