第4回NIE効果測定調査結果概要

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閲読習慣の芽生え

NIEを通じて児童・生徒の新聞の閲読頻度は、小学生(実践前75.0%→実践後81.9%)中学生(70.2%→74.9%)高校生(66.6%→68.6%)と、校種を問わず拡大しており、NIEの実践で児童・生徒の閲読習慣が芽生えていることが明らかになっている。

 閲読時間については、実践前には「5分未満」が約半数を占めるなど児童・生徒の新聞に接触する時間は限られていたが、実践後にはこの層が減少し、「5~15分」「15~30分」と閲読時間が確実に増加した。

よく読む記事については、「ラ・テ欄」「天気」「事件・事故」「スポーツ」「マンガ」が多く、実践後もこの傾向は変わらなかったが、すべての校種で「事件・事故」の順位があがっており、NIEの実践で児童・生徒の目が社会へ向けられるようになったことが明らかになっている。

情報源として最も利用しているのは「テレビ・ラジオ」で、いずれの校種でも5~7割を占め、これに「インターネット」「新聞」が続いた。ただし、「地域・地元のできごと」の情報源は「家族」が1位で、NIEの実践後には「新聞」も順位を上げている。実践後、「新聞」によって国内ニュースを知ると答えた児童・生徒も増えている。

広がるコミュニケーション

新聞記事でだれかと対話しているかと聞いたところ、「よく話し合う」と「時々話し合う」を合わせると、小学生が58.3%(実践前52.0%)、中学生42.1%(同37.2%)、高校生39.0%(同35.2%)と、NIE実践後は新聞記事をきっかけに話し合うことが増えており、新聞を使った授業が児童・生徒のコミュニケーション力を養っていることがうかがわれる。

特に「家族」と話し合うと答えた割合はNIE実践後に、小学校で13.6ポイント、中学校で17.1ポイント、高校は16.9ポイントも増加している。「友人」についても、小学校26.7ポイント、中学校18.4ポイント、高校で20.7ポイント増えている。

NIE実践後に好きになったことを挙げてもらうと、小学校の上位は「文章を読むこと」(43.9%)「調べて詳しく知ること」(42.1%)「漢字を覚えること」(28.9%)、中学校では「文章を読むこと」(50.2%)「人の意見を聞くこと」(24.5%)「調べて詳しく知ること」(21.7%)、高校では「文章を読むこと」(43.8%)「人の意見を聞くこと」(27.3%)「調べて詳しく知ること」(18.3%)となっており、NIEが読解力の向上、コミュニケーション能力の育成、調べ学習などに有効であることが分かる。

日々のニュースへの関心高まる

NIEの授業を受けて、関心を持つようになったことは、校種にかかわらず「事件・事故」との回答が最も多く、日々のニュースに対する関心が高いことが明らかになっている。

校種別に見ると、小学校では「地域・地元のこと」(27.4%)「環境、福祉」(22.2%)、中学校は「政治・経済」(24.6%)「外国のこと」(19.0%)、高校は「政治・経済」(25.6%)「環境・福祉」(19.3%)の順となっている。授業における新聞活用の違いを反映していると思われるが、総じて小学生はどの事柄においても関心が高く、実践を通して様々な事に興味を持つようになっており、中学・高校では「政治・経済」への関心が高い。

新聞を活用している教科は、小学校では教科書でも新聞が取り上げられている「国語」が最も多く、次いで「社会」「総合」。中学校では「社会、地歴、公民」「国語」の順、高校でも同様であった。

6割以上の教師が学習態度の変化を指摘

NIE実践後の児童・生徒の変化については、8割弱の教師が「新聞を進んで読むようになった」と答えたほか、「記事について友人や家族と話すようになった」「読むこと、書くことが増えた」「自分で調べる態度が身に付く」「生き生きと学習する」といった項目で、6割以上の教師が児童・生徒の学習態度の変化を指摘した。

教師に新聞活用の難しさを聞くと、最も多かったのは「教材研究の時間が足りない」で、「児童・生徒には新聞は難しい」「カリキュラムとの調整が難しい」と続く。一方、NIEへの期待で最も多かったのは「社会への関心を高める」で、「多面的な見方・考え方が身に付く」「文章の読解力・表現力が向上する」との回答が多かったが、これまで見てきたとおり教師の期待はNIEの実践後、児童・生徒の変化として表れているようだ。

このようにNIEの実践で児童・生徒は多くの成果を得ることができるが、先生方にとっては「教材研究の時間がない」など、学校現場の現状に照らすとNIEに取り組むためには依然として多くの課題が存在することも浮き彫りになっている。

調査概要

調査対象

2005年度新規NIE実践校226校の児童・生徒および教師

調査目的

NIEの実践前と実践後で、新聞の閲読頻度、よく読む記事などの変化をみるとともに、NIE実践を通して身に付く学習効果を明らかにする。

調査方法

郵送法(実践教師および児童・生徒が各学級単位で個人記述)

回答者数

児童・生徒

  実践前(147校) 実践後(120校)
小学校 男性 837 666
女性 796 620
1,633 1,286
中学校 男性 1,022 728
女性 989 714
2,011 1,442
高等学校 男性 660 554
女性 799 648
1,459 1,202

教師

  学校数 回答数
小学校 41 128
中学校 42 132
高等学校 32 105
115 365

調査期間

2005年9月~2006年3月