新聞を活用した教育実践データベース

新聞に関心をもつために 初心者向け

札幌市立百合が原小学校(さっぽろしりつゆりがはらしょうがっこう)

実施年度

2023年度

教科、科目、領域

小学校: 社会
学年 小学 5年
使用教科書発行会社 東京書籍
5年生社会科「情報産業とわたしたちのくらし」
新聞を通して社会に目を向け、様々な「ひと・もの・こと」への関心をもち、広い視野で物事を捉える力を育む。
5分間で新聞記事を読み、記事から書き抜いたり自分の考えを書いたりし、答え合わせをする。全く新聞を読んだことのない児童もいたため、まずは小学校低学年向けの短い記事から読むことで、少しずつ新聞を読むことに慣れていった。北海道新聞社の小中高校生向け総合デジタル教材「まなbell」も使用し、一人一台端末で電子版を読んだ。
新聞活用学習 新聞機能学習

(1)メディアの特徴と性質
(2)日本のメディアの歴史とは
(3)朝刊1日分にはどんな情報が載っているの?:単元の学習問題「新聞社で働く人々はどうやって毎日情報をわたしたちに届け続けているの?」
(4)新聞はどのように作られているの?
(5)なぜ新聞には記者の名前が記されているの?
(6)どうして坂本さんは読者の疑問を取材して記事にしているの?

12月(6時間扱い)

単元の3時間目では、朝刊1日分にどのような情報が載っているのか班ごとに分かれて実際に新聞を手に取り、調べた。紙面を実際に読んだことのない児童が多く、興味をもって読んでいた。「文字がたくさん書いてあるこのページってどんな情報?」と問いかけると、子どもは紙面をよく見て「株って書いてあるよ」と表情を輝かせていた。その後、全体で紙面に載っている情報を共有していくと、料理のレシピなど自分たちが想像していなかった記事があった。その時に「夜ご飯のアイデアになるかも」「お母さんに便利だね」など、誰にとってその記事が有効かを考えていた。

同じ新聞を全員に見せたかったので、地元紙に協力してもらった。国語「新聞を読もう」の全道版と地方版の記事を比較するために、同じ日付の地方版が異なる新聞5種を利用した。学級全員でほぼ同じ紙面を見ながらどんな情報が載っているか確かめることができた。

実際に新聞を読んでいるときはとても興味をもっていた。特に広告に目が行く様子だったが、「記事の種類」をたずねると視点を広げて読むようになった。記事といえど、地元に関すること、全国に関すること、外国に関することなど、様々な情報が載っていることに気付いていた。また、全体で交流したことで、「競馬の情報がある」という発言に「宝くじの情報もある」など、情報の種類を関連付けて考えていた。

成果として、新聞を全く読んだことのない子どもが新聞を読む機会を得たことが挙げられる。特に、社会科の学習を通して新聞社で働く人の思いを知ることで、新聞に対する見方が変わった。新聞への関心が高まり、重要性なメディアであるとの意識になった。一方で、新聞を活用するにまでは至らなかった。特に、活字を読むことに抵抗がある児童は自ら新聞を読んだり、新聞で調べたりすることは進んでしようとはしなかった。今後は、新聞の情報を活用し、自ら調べていくことができるよう、新聞のよさや新聞の正確性などを子ども自身が実感できるようにしていきたい。

実践者名:札幌市立百合が原小学校 坂口 明加理