新聞を活用した教育実践データベース

新聞を通した出会いと体験 初心者向け

札幌新陽高等学校(さっぽろしんようこうとうがっこう)

実施年度

2022年度

教科、科目、領域

高校(高等専門学校を含む): その他(学校設定科目(探究基礎))
学年 高校(高等専門学校を含む) 2年
使用教科書発行会社 その他
社会問題における課題解決策とエッセーコンテストを通した体験
自分たちが生活する現代社会で起こっている事象に関心を持たせ、正解のない問いに対して納得解を導き出す力を身につけさせる。
各社新聞を用意し興味関心のある新聞を選択させる
新聞活用学習 新聞機能学習

現代社会では多くの問題や事象が起こるが、それはなぜ存在するのか。また、社会をつくる組織と私たちの暮らす社会にどのような関連性があるのかを新聞記事から読み取り、経済、法律、地域など「社会科学」の視点で多角的に考察する。

4時間

(1)単元内容、目的、学習方法を共有
生徒は社会科学のテーマについてのキーワードマッピングを作成する。経済・経営・商学・法律・行政政策・地域という社会的なキーワードから連想される状況や言葉を考えたり、調べたりする。
(2)身の回りで起こっている事象を見つける
普段見ているテレビやネットのニュースを参考にする。その事象の新聞記事を探し読み取る(ネットを使用せず新聞を手に取って探す)
(3)新聞記事の要約
内容に対する問い、課題発見、課題解決策を立てる。新聞記事を読み、要約した後、その内容の何が問題なのか、社会にどのような影響を与えているのかなどを考察し、問いを立てる。その問いに対して自らの考えや知識、情報収集したものを活用し課題解決策を導き出しポスターにまとめる。
(4)成果物の共有
意見交換、リフレクション(新聞記事や要約、課題解決策などをポスターのようにまとめ、クラス内で共有する)。共有後は、生徒の今後の活動や進路に生かす。

普段から生徒たちが使い慣れているインターネットやSNSツールを活用するだけでなく、新聞記事に触れることで違いに気づかせる。また、興味関心のある分野だけに捉われないよう、複数の新聞を準備し、多角的に物事を見させるようにする。

さまざまな社会問題に触れ、どのような課題があり、自分たちがどのような行動を取れば解決できるのかということを、新聞を通してイメージし考察することができていた。特に、今まで興味関心のなかった分野の新聞記事を友人に勧められて読み意見交換を行う生徒や、課題解決策をグループ内で共有し「できること」「できないこと」を仕分け、見極める生徒がいたことも印象的であった。

本校では日常的にクロームブックを活用し情報収集やレポート作成などを行ってきたが、今回のNIE実践授業では新聞記事に触れ、「自分にできる社会問題の解決方法」「進路選択・キャリア選択のヒント」を生徒自身が導き出せるよう、深い学びの実現を意識した学習形態とした。生徒にとっての当たり前の日常にはインターネットが存在し、検索すれば求めている答えをすぐに教えてくれることが普通だ。しかし今回の学習ではインターネットから目線を離し、新聞記事や新聞の背景にいる人々に注目させたことで、授業者としても物事を多角的な視点で考察することが重要だと再確認することができた。今後の実践授業では、より生徒が主体的に学び、生徒自身の力になるよう取り組んでいきたい。

実践者名:札幌新陽高等学校 髙倉沙希