新聞を活用した教育実践データベース

新聞記事を活用し、自分の住む集落活性化案を考える授業実践 初心者向け

栄村立栄中学校(さかえそんりつさかえちゅうがっこう)

実施年度

2016年度

教科、科目、領域

中学校: 地理
学年 中学 2年
使用教科書発行会社 東京書籍
中学校社会科地理的分野「身近な地域の調査」
新聞記事を手がかりにして、自分たちの住む地域の課題とその解決策を、友と関わりながら考える力を育てる。
単元全体を通して新聞記事を活用する。栄村の課題について気づかせる新聞記事、栄村の課題を解決するためのヒントになりそうな新聞記事を複数用意する。
新聞活用学習

1.栄村長選挙に関わる新聞記事から、村の課題は「人口減」対策であり、村民は対策として「集落活性化」を望んでいるということを確認し、「どうすれば自分の住む集落を活性化できるか」という単元を貫く問いを設定する。
2.先行して集落活性化に取り組んでいる栄村小滝集落を特集した新聞記事から、どのようなことをすれば集落活性化につながるかを考える。小滝集落の方をゲストティーチャーとしてお招きし、集落活性化についてお話を伺う。
3.自分の住む集落活性化案を集落ごとのグループで考え、模造紙にまとめ、発表する。

4時

1.学習課題を「自分の住む集落を活性化させる『光る資源』を決めて、その資源を生かす方法を考えよう」と設定する。
2.他の市町村での村おこし、町おこしを伝える新聞記事16種類の中から、自分の集落の参考になりそうな新聞記事を決める。(「雪」、「棚田」、「星空」、「SL」、「伝統食」などで村おこし、町おこしをしている新聞記事)
3.長野県白馬村で、夏休みに行われた「自然体験ツアー」に関する新聞記事をクラス全体で目を通し、5W1Hの視点に基づいて、白馬村の記事の場合は、何を、どのように、誰に対して活用しているのかを確認する。
4.「温泉」、「苗場山」、「古民家」、「夏祭り」といった各集落の光る資源を決めて、新聞記事を参考にして生かし方を考える。
5.集落ごとのグループ(2~4人)となり、グループとして活性化案をまとめ、代表者が発表する。

活性化案を考える参考となるような、先行事例を記した新聞記事をなるべくたくさん用意する(今回は16種類)。日々の新聞記事の中から生徒自身に用意させてもよい。グループを作る際に、今回は生徒が住んでいる集落ごとのグループを作り、学習していることが実生活と関わるように配慮する。

「自分の住む集落について考える」という身近な内容のため、主体的に活動する様子が見られた。同じ集落の仲間と楽しそうに会話をしながら活動をしていた。自分たちの住む集落や地域の良さを再確認する充実した学習となった。集落や地域に対して、中学生としてどんなことができそうかを考えることができた。

新聞記事には、自分にも関係のあることや身近な地域のことが記載されていることを知ってほしいと思い、栄村を扱った新聞記事を授業で使用した。生徒にとっては新聞を身近に感じるきっかけになったのではないかと思う。また、教科書だけでは分からない、地域や世の中のことに目を向けるきっかけにすることもできた。新聞を読むことが好きな生徒は今後も新聞に親しんでいくと思われるが、まだ新聞を読むことに「必要感」を感じていない生徒が大多数である。そのような生徒に新聞を読む必要感や、新聞を読むと新しいことを知ることができるという楽しさを感じさせるような研究・実践を今後行っていく。

実践者名:栄村立栄中学校 手塚健介