実践指定校実践例 2012年度

「思考力・表現力」を育てる新聞の活用

匝瑳市立椿海小学校(そうさしりつちんかいしょうがっこう)

教科、科目、領域

小学校: 国語 、社会 、道徳
学年 小学 5年
「誰かのために」
東日本大震災の被災地の人々が,避難生活をしている人々の辛さを軽減できるように行動していることを捉え,誰に対しても思いやりの心をもち親切にする態度を育てる。
(1)新聞に親しむ(2)継続して新聞を読む(3)自分の考えをまとめ,意見の交流をする(4)新聞づくりをする(5)新聞記事から構成した授業(道徳)を行う
新聞制作学習 新聞活用学習

道徳 「誰かのために」 2-(2) 思いやり・親切。
資料 「東日本大震災のある記事から」
 津波で流されて瓦礫の中に横たわる車からガソリンを抜いている人々の新聞記事(写真)を題材にした。避難所で寒さに耐えているお年寄りや子どもたちにこれ以上辛い思いをさせたくないという切なる思いからの行動を,善か悪かという方向ではなく,人々を動かした気持ちや考えに焦点を当てて話し合う。 

第1時

導入…東日本大震災のことを想起し,人々の気持ちを考える。
展開…
(1)資料の写真を見て話し合う。
・何をしているところか考える。
・ガソリンを抜き取っている様子から,考えたことを話し合う。
(2)資料の記事を読み,話し合う。
・車からガソリンを抜き取っている人々がどんなことを考えたか,話し合う。
・避難所の人々の気持ちを考える。
終末…東日本大震災でボランティア活動した人の話を聞き,感想をもつ。

・東日本大震災の記録ビデオや新聞記事,自分達が調べた資料などから,震災の恐ろしさや被害の大きさ,人々の不安や悲しみ,辛さ,さらには避難所の生活の大変さや寒さとの戦いなどを事前に話し合っておき,関心をもって本時に取り組めるようにする。
・悪いことを承知で行為に及んだことを押さえ,人々の行為を支えている考えや思いについて考えさせると共に,本当の親切について考えられるようにする。

 新聞を読む活動,書く活動,それをもとに友達と意見を交わす活動を積み重ねたことにより,新聞記事から構成したこの授業では,児童一人一人が自分の考えをしっかりともって,学習に取り組むことができた。

新聞を活用した学習全てについての成果と課題
成果
(1)新聞を身近なものと感じ,抵抗なく読めるようになった。 (2)社会とのつながりを感じたり,いろいろな知識が増えたりすることで,楽しく学習できた。(3)新聞を読んで,自分の考えをもち,友達の考えと比べることができた。(4)より良く伝えるための様々な表現方法を知り,楽しく新聞づくりができた。
課題
(1)読む記事に偏りの見られる児童がいる。いろいろな記事に関心をもてるようにする手だてが必要である。(2)新聞記事に対する感想や考えをもてるようになったが,自分の考えを筋道立てて書いたり発表したりすることが,十分ではない。

実践者名:匝瑳市立椿海小学校 林利絵