実践指定校実践例 2012年度
新聞記事から、今の社会の問題について考える
千葉市立都小学校(ちばしりつみやこしょうがっこう) |
教科、科目、領域 |
小学校: 社会 |
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学年 | 小学 6年 |
私たちのくらしと政治 |
今の社会の出来事に関心を向け、問題意識を持つようにする |
教科書の学習内容と連動させる |
全10時間展開
(第1時) 新聞記事から、子どもの数が減ってきている現状を知る。
(第2~4時)地域の子育て支援施設を見学し、分かったことを話し合う。
(第5時)千葉市の色々な子育て支援サービスを調べる。
(第6~7時)市議会、税金の働きを調べる
(第8時)国会の働きを調べる、衆議院議員選挙の得票率について書かれた新聞記事を読み、感じたことを発表しあう
(第9~10時)内閣、裁判所のはたらきを調べる
第1時 |
まず、複数の新聞記事(子どもの数の減少、合計特殊出生率の低さ、保育所待機児童の深刻な状況)を読み、子どもの数が減ってきていることや、育児に関して問題があることを児童に理解させた。そして、こうした状況になっている原因を考えさせると、「働く女性が増えているからではないか」「結婚しない人が増えているのではないか」「子どもをたくさん産んで育てたくても、できないのではないか」などの考えが出された。そこで、私たちが生活している千葉市では、子育て支援にどのように関わっているのか、子育てしやすい町づくりのためにどんな取り組みをしているのかを調べていこうという単元の学習につなげていった。 |
児童の問題意識を喚起することができるような新聞記事を選び、児童に提示した。新聞記事から読み取らせたい事実ができるだけ分かりやすいものにした。また、新聞記事に書かれている情報について、自分はどんなことを思うかを考える時間を充分に確保した。新聞記事にじっくりと向き合わせることで、6年生の児童であっても、今の社会の問題について様々な考えを持つことができた。 |
今まで少子化や子育て環境についてあまり考えたことがなかった児童が多く、今の社会の現状を知って、驚く様子が見られた。そして、学習を進めていくにつれて、「今のままではいけない」「これから、こんなことをしていくべきだ」というように社会に目が向くようになっていった。
NIEに取り組んだ2年間を振り返ると、当初は新聞は難しいという印象が強く、敬遠しがちな児童も多かったが、学年に応じた手だてを打って新聞を読めるようにしたことで、段々と新聞に親しむことができるようになった。児童の意識も、「新聞は難しい」というものから、「新聞からは多くの情報が得られる」「新聞は役に立つ」というものに変化した。新聞から得ることができる新しい情報に触れ、自分で考えることを繰り返したことで、思考力・判断力の高まりが見られた。新聞が身近に無い家庭が多い中、学校でこのような環境を与えることができたことの意義は大きかったと感じている。
今回の取り組みの反省点としては、新聞記事を教師が用意したことである。今後の社会科学習での新聞活用では、自分で記事を見つけていく能力も育てていきたい。
実践者名:千葉市立都小学校 岩田 亮